スイスに本拠を置くCO2回収技術開発企業のクライムワークスはこのほど、同社の炭素除去ソリューションがマイクロソフトの炭素除去ポートフォリオの一部として選ばれたことを発表した。マイクロソフトは2030年までにカーボンネガティブを、2050年までに同社が過去に排出した炭素の除去実現を目標としている。

CO2を新たに大気中に排出するのを防ぐ努力に加えて、過去に排出したCO2を大気中から除去することが重要であると気候科学者はみている。企業は地球温暖化緩和に重要な役割を果たしており、現在と過去に排出した炭素除去への対処を開始しているなか、マイクロソフトは積極的にこの取り組みを進めており、上記の目標を達成するために炭素除去ポートフォリオを作成し、報告書で公表した。

クライムワークスは、アイスランドのヘトリスヘイジにある同社初の完全に再生可能で商業規模の直接空気回収・貯留プラントで、CO2を大気中から回収する。クライムワークスのパートナー企業であるアイスランドに本拠を置くCarbfixは、回収されたCO2を水と混合してポンプで地下に送り、急速な鉱化作用のプロセスでCO2を効率的かつ恒久的に、そして安全に貯留する。マイクロソフトは、同プラントにClimate Innovation Fund(※)を通じて投資する。マイクロソフトによるカーボンネガティブ計画は、気候変動への取り組みにおける重要なマイルストーンを示し、科学に基づいた完全に測定可能で永続的な解決を目指す他企業に大きな影響を与えるとクライムワークスは考えている。

マイクロソフトのカーボンプログラム主任であるエリザベス・ウィルモット氏は、「クライムワークスの直接空気回収技術は、当社の炭素除去努力の重要な要素として機能します。クライムワークスは、技術的な厳密さ、特にソリューションの永続性において高い基準を設定しています。同プラントへの投資で、クライムワークスの事業をさらに拡大できることを楽しみにしています」と述べている。

クライムワークスの共同最高経営責任者(co-CEO)兼共同創設者であるクリストフ・ゲバルド氏は、「マイクロソフトのCO2除去ポートフォリオに参加することで、大きく流れを変えるものになるでしょう。マイクロソフトのアプローチは、自社の排出量を削減するだけでなく、クライムワークスのCO2除去など、気候変動に大きな影響をもたらす可能性のある科学に基づいた産業規模のソリューションに投資するよう、他企業を刺激します」と語っている。

Climate Innovation Fund:マイクロソフトが2020年1月に発表した、新しい環境持続可能性戦略。取り組みの一環として、4年間で10億ドル(約1,040億円)を新しいテクノロジーと革新的な持続可能性ソリューションに投資する

【プレスリリース】Climework’s solution is part of Microsoft’s plan to reach negative emissions
【参照レポート】Microsoft carbon removal Microsoft Carbon Removal – Lessons From an Early Corporate Purchase
【参照サイト】Climate Innovation Fund
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*冒頭の画像は建設中のクライムワークスの直接空気回収・貯留プラント。出典:クライムワークス