三井住友海上火災保険株式会社と豊田通商株式会社はこのほど、衣料品事業者向けに「燃やさない保険(衣料品循環費用補償特約)」を開発し、10月から販売を開始すると発表した。
同商品は、衣料品に損害が生じた場合、従来は焼却廃棄されていた衣料品を循環(リサイクル、アップサイクル)させるべく、事業者が負担する追加費用などを補償する業界初(三井住友海上火災保険調べ)の特約となる。三井住友海上火災保険は同商品の提供を通じて衣料品の循環を促し、サーキュラーエコノミーの実現を目指すとしている。
衣料品製造メーカーや販売店などが、同商品の対象だ。製造・流通過程における火災や水濡れなどで衣料品に損害が生じた際、衣料品の循環に要する追加費用を補償する。追加費用は、衣料品循環事業者に衣料品を委託する費用や、衣料品循環事業者がリサイクル・アップサイクルにあたって衣料品を加工する費用などだ。
両社の役割は、次のとおり。三井住友海上火災保険は衣料品の焼却廃棄ではなく循環にかかる追加費用などを補償し、豊田通商は衣料品を繊維原料にリサイクル・アップサイクルして再循環を促進する。
出典:三井住友海上火災保険株式会社
同商品開発の背景は、アパレル業界における環境負荷だ。環境省によると、日本では一日に大型トラック120台分の衣服が埋立・焼却されている。業界の環境負荷削減を目指し、循環移行に向けた取り組みが進められているものの、損害が発生した衣料品の循環は焼却廃棄に比べて多くのコストや手間が発生することが循環移行の障壁となっていると三井住友海上火災保険はみている。こうしたことから、両社はアパレルロス問題解消に向けた「サーキュラーエコノミー構築共同事業」を2023年4月に開始し、今回の商品開発にいたった。
豊田通商はこれまでも、Tシャツリサイクル事業「Tee-Cycle™️」への参画や、繊維・ファッション領域のサーキュラーエコノミー推進プロジェクト「PATCHWORKS™️(パッチワークス)」の展開など、繊維の循環移行に向けて取り組みを進めてきた。2023年7月には、PATCHWORKS™️の一環としてナイロンの水平リサイクル実現を目指し、廃漁網リサイクル事業に参入した。
なお、「保険はリサイクル業界の成長に不可欠である」とする報告書も発表されており、リサイクル業界における保険の重要性が指摘されている。
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