NGP日本自動車リサイクル事業協同組合はこのほど、一般社団法人日本自動車リサイクル部品協議会の加盟団体の部品共有システムをデータ連携し、自動車リサイクル部品の相互流通を5月中に開始すると発表した。

同協議会に加盟する12組織は、株式会社エス・エス・ジー、シーライオンズクラブ、株式会社システムオートパーツ、自動車補修部品研究会、テクルスネットワーク、株式会社ビッグウェーブ、一般社団法人部友会、リビルド工業会全国連合会、一般社団法人ARN、一般社団法人JARAグループ、NGP日本自動車リサイクル事業協同組合、一般社団法人SPN。

12組織は、6つの部品共有システムを所有している。システム運用会社は、アールイーシー株式会社、株式会社ジャプラ、株式会社ビッグウェーブ、株式会社BBF、株式会社JARA、株式会社NGPの6社。相互流通開始により、在庫点数は400万点以上となり、全品保証付き自動車リサイクル部品の国内最大級の在庫共有ネットワークとなる。

運用開始に向け、同取り組みの呼称を「オールジャパン構想」から「オールリサイクルパーツネットワーク」に変更し、整備鈑金業・自動車ユーザー・自動車メーカー・その他関係者への周知活動を実施する。

同取り組みの目的は、自動車修理の環境面と経済面の改善だ。自動車リサイクル部品は、新品部品の利用と比較してCO2削減効果があるとともに、安価に修理できるという利点がある。近隣地域からの部品調達の必要性は高まっているものの、各組織が利用する在庫共有システムのデータはこれまで十分に連携されておらず、選択肢は限定されていた。この課題を解決するべく、在庫を公開して近隣地域の供給量を増やすことを目指し、同ネットワーク構築に至った。同取り組みにより、整備工場・車体業・部品商などへのリサイクル部品の納品率向上と納期短縮、整備鈑金業のコスト削減・作業時間短縮・自動車ユーザーの満足度向上を実現したい考えだ。

自動車部品リサイクルは、世界的な成長が期待されている。コンサルタント会社の米Bain & Companyは、欧州の自動車産業の生産におけるリサイクル材の使用は2040年までに2倍以上(2020年の23%から59%へ)になると予測。リサイクル・材料使用の改善・部品のリユースと再製造・新しいモビリティ事業モデルの規模拡大を組み合わせることで、自動車産業を循環型に移行できるとしている。今後、オールリサイクルパーツネットワークのような取り組みが促進され、さまざまな組織が協働して自動車産業のサーキュラーエコノミー移行を加速していくことが期待される。

【プレスリリース】日本国内最大級の自動車リサイクル部品の在庫共有ネットワークが誕生!~流通活性化によるカーボンニュートラルに貢献~
【関連記事】自動車材料による排出量、循環型戦略で2040年までに60%削減。Bain & Company報告書
【関連記事】アウディ、自動車材料の循環性向上プロジェクトを15社と共同実施
【関連記事】三菱ケミカル・東京海上日動・ABT、使用済み自動車のアクリル樹脂回収スキームの実証を開始
【関連記事】世界経済フォーラム主導のサーキュラー・カー・イニシアチブ、自動車産業の循環型経済移行に向けた報告書を刊行。事業例を提示
【関連記事】ルノー、サーキュラーエコノミー担当者に聞く。規制を機会にし、サーキュラーエコノミーを「主要事業」へ
【関連記事】EUの使用済み自動車指令と自動車リサイクル業界の現状から見える、サーキュラーエコノミー移行に向けた課題