国立研究開発法人国立環境研究所はこのほど、報告書「サステナブル分野の統合評価の現状と課題、今後に向けた提言」を公表した。同研究所ではカーボンニュートラル、ネイチャーポジティブ、サーキュラーエコノミーなどの取り組みを統合的に解決していくため、学識者、民間企業との勉強会に参加・協力するとともに、2024年3月にシンポジウムを共同主催。本報告書は、勉強会とシンポジウムでの議論を基に、環境分野の取り組みを統合的に評価・実施する上での要点をまとめ、提言を行っている。
同研究所の研究者らは、2023年11月から学識者11名と民間企業18社の参加者からなる「サステナブル分野の統合的評価に関する勉強会」(主催:みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)に参画。サステナブル分野の統合的評価の重要性や課題が広く社会に認識されるため、企業におけるサステナブル分野の統合的評価とアクションについての議論に協力してきた。
さらに、2024年3月5日に「サステナビリティシンポジウム2024-サステナブル分野の経営と政策に求められる統合的評価とアクション-」をみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社と共同主催。企業担当者を中心に398名が参加し、議論を行った。
本報告書は、(1)統合的評価の必要性と課題、(2)トレードオフ/シナジーの事例および統合的評価手法等の事例、(3)今後の取り組みに向けたステップと必要なことについて整理した。
「統合的評価の必要性と課題」では、サステナブル分野の統合的評価・取り組みを具体的に進める上でハードルとなる事項を分類化。「トレードオフ/シナジーの事例および統合的評価手法等の事例」では、統合的評価を考える際の参考情報として「企業の統合的評価の動き」「既存の統合的評価手法」などを示す。「今後の取り組みに向けたステップと必要なこと」では、サステナブル分野におけるシナジー/トレードオフへの対応をパターン別に整理した。
グローバルな複合環境危機に直面する中で、各主体(国際社会、政府、大学・研究機関、事業者、投資家・認証機関、市民・マスメディア)が単独で対応できることには限界があると指摘。本報告書は各主体に向け、本勉強会からの13の提言をとりまとめている。
【プレスリリース】企業との協働による報告書「サステナブル分野の統合評価の現状と課題、今後に向けた提言」を公表
【参照記事】「サステナブル分野の統合的評価に関する勉強会」のとりまとめ報告書を発表
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