スウェーデンの新興電池メーカーであるノースボルトはこのほど、グリーンローン(#1)により50億ドル(約7400億円)を調達したと発表した。調達した資金を元手に、欧州初(※)のサーキュラーエコノミーを実現するギガファクトリーおよびリサイクル工場を拡張する。

ノースボルトは今回、50億ドルのノンリコースローン(#2)に調印。同取引は、欧州のグリーンローンとしては過去最大規模となる。今回の資金調達により、ギガファクトリー「Northbolt Ett」の正極・セル生産を拡大させるほか、隣接するリサイクル工場「Revolt Ett」を拡張する。

Revolt Ettでは、採掘された原料よりもカーボンフットプリントが70%(※)低いバッテリーグレードの金属を回収する。これにより、これまでアジア以外には存在しなかった完全なサーキュラーエコノミーを実現するバッテリー生産体制を構築できるとしている。

契約には、2020年7月に調達した16億ドルの債務パッケージのリファイナンスを含む。BMWやフォルクスワーゲン・グループなどパートナー企業との550億ドル超の長期オフテイク契約を踏まえ、巨額の資金を調達した。

資金は、商業銀行23行、欧州投資銀行(EIB)、北欧投資銀行(NIB)で構成するグループによって提供する。EIBおよびNIBは、欧州委員会が主導する投資促進策「インベストEU」プログラムの支援を受けている。

融資枠の多くは、スウェーデン国債局、ユーラー・ヘルメス、韓国輸出入銀行(KEXIM)、日本貿易保険(NEXI)および韓国貿易保険公社(K-Sure)が提供する直接資金と組み合わせた一定の保証でカバーされる。

今回のグリーンローン契約は、ノースボルトが2023年に創設したグリーン・ファイナンス・フレームワークを通じた最初の融資となる。同フレームワークは、持続可能性とサーキュラーエコノミーへの取り組みを反映しており、外部評価機関のオスロ国際機構研究センターCICEROから最高評価となる「ダークグリーン」に分類された。

ノースボルは現在、欧州と北米での事業を拡大させるべく、エクイティおよびデッドファイナンスにて130億ドル以上の資金を調達している。

(#1)グリーンローン:環境改善効果のある事業に要する資金を調達する際に受ける融資
(#2)ノンリコースローン:特定の事業や資産から生じるキャッシュフローのみを返済原資とするローン
※ノースボルト調べ

【参照記事】*1 ノースボルト「Northvolt raises $5 billion to enable expansion of first circular gigafactory in the western world」
*冒頭の画像の出典:ノースボルト

※本記事は、ハーチ株式会社が運営する金融投資メディア「HEDGE GUIDE」の「北欧電池スタートアップのノースボルト、過去最大規模のグリーンローンで7,400億円調達。欧州初のサーキュラーエコノミー実現するギガファクトリー拡張へ」の転載記事です(一部表現を改変しています)。