小田急電鉄株式会社(以下、小田急電鉄)は9月1日、「“ごみ”のない世界へ。Beyond Waste」を事業ビジョンとするごみ管理事業「WOOMS」(ウームス)を開始した。

同事業は、主に自治体や廃棄物排出・収集事業者を対象に廃棄物収集業務を効率化し、そこから生まれた資源をごみ削減やリサイクル拡充につなげる取り組みだとしている。同事業では、「収集・排出サポート」と「資源循環サポート」で構成するソリューションを順次提供する意向だ。2つのサポートについて、小田急電鉄は下記のように発表した。

収集・排出サポート

以下の3つの業務システムを確立し、資源・廃棄物に関わる自治体や事業者に対して、テクノロジーを活用した収集から事務業務の効率化を支援する。顧客の持つ課題に対して最適なシステム活用を通じた解決策を提案・助言する。

  • 収集サポートシステム:タブレットを活用したルート案内・収集データの蓄積により、業務効率化を促進する。2022年4月開始予定
  • 管理サポートシステム:リアルタイムな収集状況の把握と収集データの活用により、業務最適化を促進する。2022年4月開始予定
  • 事務処理サポートシステム:事業者向けに電子マニフェストの発行などのサービスを提供する。2023年度開始予定

収集サポートシステムを活用し、日揮HDらが進める「国産廃食用油を原料とするバイオジェット燃料製造サプライチェーンモデルの構築事業」に小田急電鉄は参画する計画だ。飲食事業者が排出する廃食用油の資源としての活用など、地域で排出される廃棄物を資源化する取り組みを開始するとしている。

資源循環サポート

効率化による余力を活用して資源循環を高める施策を提供する。廃棄物削減・リサイクル・自治体における市民啓発につながる環境教育プログラムなど、自治体と事業者の資源循環施策の実現に向けた活動や、製品をパートナーと連携・開発して提供する。一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパンなど外部パートナーと協力・連携して進める。2021年9月1日に開始した。

これまで小田急電鉄は、下記をはじめとするごみを資源と捉える活動・市民啓発活動を実施してきた。

  • 神奈川県座間市と共同で実施した、廃棄物収集業務の効率化の推進とともに得られた余力を活用し、これまで燃やすごみとして処理していた剪定枝をバイオマス発電用チップの原料にする取り組み
  • 一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパンと連携し、同法人が開発提供する「ゼロ・ウェイストゲーム」の座間市などの小学校環境教育授業への導入支援

同事業は、新経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」に掲げる変革に必要な3つの発想(DX・共創・ローカライズ)を取り入れ、鉄道・不動産に次ぐ新たなインフラ事業となりうると小田急電鉄は考える。小田急沿線におけるまちづくりと持続可能な循環型社会の形成に向けて全国展開を目指していく意向だ。

このほかにも、小田急電鉄はサーキュラーエコノミーの概念を事業やまちづくりに取り入れ、地域と密接に関わりながら次のようなサステナビリティ活動に取り組んでいる。

  • 2019年6月、神奈川県座間市と「サーキュラー・エコノミー推進に係る連携と協力に関する協定」を結び、デジタル技術を活用したごみ収集業務のスマート化実証実験を実施し、収集員の作業軽減やごみ収集の効率化などの効果を報告した
  • 2020年9月、小田急電鉄が座間市で展開するホシノタニ団地の「循環型コミュニティの創出」が世界循環経済フォーラムの主催機関であるフィンランドのサーキュラーエコノミー推進ファンドSitraの「世界を変えるサーキュラーエコノミー・ソリューション」に選定された
  • 2021年3月から3カ月間、ボトルtoボトルに向けた実証運用実験を新宿駅にて実施し、再生ペットボトル2,800本分の資源を回収した
  • 2021年7月、藤沢市と「持続可能な地域循環型社会の推進に係る連携協定」を締結し、プラスチックごみ削減や海洋プラスチックごみ対策・環境美化・ごみ減量の推進について共同で取り組むことに合意した

多くのパートナーとともに実践を重ねてきた小田急電鉄のごみ管理事業の今後に注目したい。

Circular Economy Hubは2021年9月28日、オンライン学習プログラム「Circular X(サーキュラーエックス)」シリーズにて「サーキュラーエコノミーとコミュニティ」をテーマに開催する。同回では、小田急電鉄とサーキュラーエコノミー専門家の安居昭博氏、東京都三鷹市で「公共コンポスト」を実践する鴨志田農園の鴨志田純氏にお話しいただく。詳細はこちらから。

【プレスリリース】「”ごみ”のない世界へ。Beyond Waste」を事業ビジョンに!9月1日ウェイストマネジメント事業「WOOMS」を始動!
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*冒頭の画像の出典:小田急電鉄株式会社