⼀般社団法⼈⼤崎町 SDGs 推進協議会(⿅児島県⼤崎町) と国⽴研究開発法⼈国⽴環境研究所(茨城県つくば)は、サーキュラーエコノミーを推進する「サーキュラーヴィレッジ・⼤崎町」で資源循環・廃棄物処理システムがもたらす環境、経済、社会の各側面の価値評価に関わる共同研究を行うと発表した。共同研究を通じて、より環境負荷が低く、循環型社会の実現につながる廃棄物処理のあり方を明らかにすることを目指す。期間は2025年3月末まで。

⼤崎町 SDGs 推進協議会は、⼤崎町が積み重ねてきた資源循環の取り組みをベースに、地元企業や団体、市民などさまざまな主体による参画を通じて世界のモデルとなる循環型のまちづくりを進めている。その一環として、⼤崎町の廃棄物処理システムを客観的に評価、研究する拠点として「サーキュラーヴィレッジラボ」を 2021 年 10 ⽉に設⽴した。一方、国⽴環境研究所は地域における資源循環・廃棄物処理がもたらす多⾯的価値を評価、研究し、⼈⼝減少・⾼齢化社会の下で持続可能な資源循環・廃棄物処理システムのあり⽅を提⾔している。

今回の共同研究では、まず前半で⼤崎町の廃棄物処理関連データに基づいて国⽴環境研究所が⼤崎町の温室効果ガス(GHG) 排出量や焼却処理している⾃治体との⽐較といった環境面と経済面を主とした定量評価を行う。さらに期間の後半では、大崎町の分別処理システムが及ぼす社会的側面の調査研究も行っていく。その上で、次の段階として他地域への横展開の可能性を探っていきたい考えだ。

各フェーズでの研究内容について、国立環境研究所 資源循環領域 主任研究員の河井紘輔氏はこう説明する。

「高いリサイクル率で知られる大崎町の分別処理システムではとりわけ生ごみの堆肥化が有名ですが、それ以外の紙やプラスチック、ガラスや金属類も含めてすべての品目で他地域と比較した際の評価はどうなのか。あるいは、堆肥化と焼却処理ではどちらがGHG排出量を含めた環境負荷が低いのか、焼却時とのコストも比較参照したい」

「後半の社会的側面の調査では、高いリサイクル率を支える住民の努力はどのようなモチベーションから来ているのか、ごみの分別によってどのような社会的価値、例えば地域のつながりや治安の向上、生きがいなどにつながってくるのか明らかにしたい」

河井主任研究員によると、同研究所が自治体と共同研究の形で資源循環・廃棄物処理システムの環境・経済・社会面における実証評価を行うのは例がないとみられる。大崎町側で共同研究を統括するサーキュラーヴィレッジラボ所長の大岩根尚氏は「持続可能で循環する未来にしていきたいと考えているが、SDGsの達成やカーボンニュートラルの実現につながるような今回の共同研究を発信し、他の地域とも議論し合いながらそれぞれに合った形で取り入れてもらうことが大切だ」と話している。

【プレスリリース】大崎町における資源循環・廃棄物処理システムの評価に関する研究がスタート 大崎町SDGs推進協議会と国立環境研究所が共同研究契約を2月3日に締結

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