楽天グループ株式会社はこのほど、「楽天・ジャパン・オープン・テニス・チャンピオンシップス2022(楽天オープン)」における資源の調達から廃棄までのサーキュラリティ評価結果を発表した。

サーキュラリティ評価は、企業の取り組みのサーキュラリティを測定・自己評価する枠組みで、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)と30のグローバル企業が策定した。同評価の実施は、スポーツイベントとしては国内初(レコテック株式会社調べ)となる。

同大会では大会運営における環境負荷を削減するべく、レコテック株式会社と共同でさまざまな取り組みを実施した。サーキュラリティの評価にはレコテック株式会社が開発した資源循環プラットフォーム「POOL」を活用し、イベントにおける資源の調達から廃棄までを可視化・分析した。同大会におけるサーキュラリティ評価の結果と実施した取り組みについて、楽天グループ株式会社は以下を公表した。

サーキュラリティ評価の結果

  • マテリアル・サーキュラリティ率:48%
  • サーキュラーインフロー率:36%
  • サーキュラーアウトフロー率:60%
  • 循環型の取り組みによるCO2削減効果:3万5709kg(テニスコート約156面分の森林が1年間に吸収するCO2量と同等)

実施した取り組み

  • ごみ分別箱を会場内に設置して廃棄物を5種類(可燃、ペットボトル、ペットボトルキャップ、生ごみ、弁当袋)に分別し、品目ごとに再資源化して焼却処理量を削減した。ペットボトルはペットボトルに、ペットボトルキャップは再生樹脂としてリサイクルしテニス関連用品に、弁当袋は再生樹脂にして別のプラスチック資材の原料に再生し、生ごみはメタン発酵施設に運び電気と有機肥料にリサイクルした
  • リユース資材の使用と再リユースを徹底した
  • 10月1~9日の予選から本戦終了期間までの間、大会運営で使用する電気により発生したCO2を楽天エナジー株式会社が森林由来の「J-クレジット」を通じて16トンオフセットした
  • ファンがサステナブルな大会運営に参加できるチケット「楽天オープン2022グリーンチケット」を146枚販売した。購入されたグリーンチケットの代金は、手数料を除きサステナブルな大会運営のために楽天グループ株式会社が取り組む活動の費用に充てる


次回の運営では、リユース資材の使用拡大・リサイクル材を使った資材への切り替え・サステナブルな手法で生産された木材や食材の調達など、「サーキュラーインフロー率」を引き上げる活動を促進し、マテリアル・サーキュラリティ率の向上を目指す。今後は、テニスをはじめさまざまな大会の会場で資源循環への取り組みを進めていきたい考えだ。

レコテック株式会社は、同大会におけるサーキュラリティ評価は日本での大きな成果であるとし、同大会が大規模イベントにおけるサステナブルな取り組みのベストプラクティスとして、イベントのあるべき姿を世界規模で提示していくことを期待するとしている。今後も同社は、資源循環プラットフォーム「POOL」を活用し、廃棄物を抑制する運営手法の導入や、環境負荷の低い材料の調達による最適な資源循環の実装を日本におけるイベント運営の標準にしていくことを目指す。

スポーツやコンサートなどのイベントは、人々を魅了し多くの共感や価値を生み出す一方で、環境に与える大きな負荷も指摘されている。ファンをはじめ多くの人を巻き込んだ今回の取り組みからの学びが、今後の国内外のイベントのサステナビリティ向上とサーキュラーエコノミー移行に寄与していくことが期待される。

【プレスリリース】楽天、「楽天オープン2022」にて導入した、スポーツイベントとして国内初となる「サーキュラリティ評価」の結果を発表
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*記事中の画像の出典:楽天グループ株式会社