レコテック株式会社はこのほど、廃プラスチック原料の回収から再生ペレット化までを調整するPCR材「POOL樹脂」のライフサイクルにおけるCO2排出量を算出した。

POOLは、2021年11月にレコテック株式会社が開発した資源循環プラットフォームだ。使い捨てられている多くのプラスチックをPCR材として製品に戻すべく、物流効率の最適化とPCR材のトレーサビリティ情報を確立する機能を備え、トレーサビリティが確保されたPOOL樹脂を提供している。

今回、同社が発表した算出結果は、以下のとおり。

  • 廃プラスチック処理にかかるCO2排出回避・排出元での高度分別によるリサイクル工程における工程の省略・動静脈一体物流による回収効率化などの効果が見られ、化石燃料由来のPE樹脂やPP樹脂と比較して、最大77%のCO2削減効果がある
  • バイオマスプラスチック樹脂と比較すると、72%のCO2削減効果がある
  • 廃プラスチック処理の回避効果を考慮しない場合における、純粋な樹脂製造ライフサイクルの比較においても、PE樹脂・PP樹脂・バイオマスプラスチック樹脂・従来の再生ポリオレフィン(PO)樹脂と比較して、POOL樹脂はCO2削減効果がある

(出典:レコテック株式会社)

これらの結果から、同社は企業の可能性を次のように示した。

  • PCR材の使用が求められる企業:レコテック株式会社のPOOL樹脂を調達することで、サーキュラーエコノミー移行に貢献し、Scope3カテゴリ1(購入した製品・サービス)も大幅削減できる
  • 従来廃プラスチックをサーマルリサイクル処理している排出事業者:処理方法をPOOL樹脂化に切り替えることで、Scope3カテゴリ5(事業から出る廃棄物)を50%以上削減できる。例)従来化石燃料由来のLDPE樹脂から製造していた製品の原料100トンをPOOL樹脂に切り替えた場合、Scope3カテゴリ1の排出量を約119トン削減できる。これは、原油換算で約4万5000リットルの削減、スギの木約1万3000本分のCO2吸収量に相当する

今後も同社は、輸送段階やペレット化工程におけるCO2排出量削減によるPOOL樹脂の環境負荷低減に努めていきたい考えだ。同時に、POOL樹脂のライフサイクルCO2排出量の算定結果の精緻化と信頼性向上にも取り組んでいくとしている。

今回の算定で、POOL樹脂がCO2削減に大きな効果があることが示された。資源循環および環境負荷削減に寄与する同取り組みに、国内外の多くの組織が参加して、POOL事業が拡大されていくことが期待される。

POOLは国内外で注目されており、2021年11月、POOLによる廃プラスチックの再資源化事業が東京都「革新的リサイクル技術・ビジネスモデル推進プロジェクト」に採択された。2022年7月にレコテック株式会社は、Alliance to End Plastic Waste(廃棄プラスチックを無くす国際アライアンス。以下、AEPW)とPlug and Play Japan株式会社が開催する、サステナビリティをテーマにスタートアップや関連企業の取り組みを支援するプログラムに採択されたと発表している。同プログラムにおいて、レコテック株式会社はAEPWに参加している国内外のメンバー企業と協働し、プラスチック廃棄物排除を目指してPOOLの事業拡大を目指すとしている。

【プレスリリース】国産PCR材100%のPOOL樹脂、CO2削減効果最大77% 調達事業者のScope3カテゴリ1、廃プラ排出事業者のカテゴリ5を大幅削減
【参照サイト】レコテック、Alliance to End Plastic Waste(廃棄プラスチックを無くす国際アライアンス)プログラムに採択
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*冒頭の画像の出典:レコテック株式会社