株式会社リコーはこのほど、「リコーグループ サーキュラーエコノミーレポート2023」を発行した。
マテリアリティの一つに「循環型社会の実現」を設定しているリコーグループは2022年3月、日本企業として初めてサーキュラーエコノミーレポートを刊行。2023年も2022年と同様に、2021年に経済産業省と環境省が発行した「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」を参照し、循環型社会実現に向けた同社の取り組みを報告した。ESG目標の一つである製品の新規資源使用率について、2030年までの削減施策と効果を掲載するとともに、省資源事例において省資源効果と温室効果ガス削減効果も示した。
1994年、リコーグループは循環型社会実現のコンセプトとして「コメットサークル™」の考え方を制定。同コンセプトに基づく4つの行動指針として、「ライフサイクル視点での環境負荷の把握と削減」「より環境負荷の小さいリユース・リサイクルの実践」「循環型ビジネスモデルの確立」「ステークホルダーとのパートナーシップ」を定めている。
2022年度の主な実績は以下のとおり。
- 製品の新規資源使用率は84.9%。リユース量の増加や新製品への再生プラスチックの大幅搭載などにより、2022年度の目標(85%以下)を達成した。2019年度の値は90.1%で、目標は2030年に60%以下、2050年に12%以下
- 画像製品におけるプラスチック回収材使用率は16.2%で、2021年度の8.6%から増加した。2030年の目標は50%以上
- 製品包装における化石資源由来バージンプラスチック削減率の2030年の目標は、2020年比で50%以上。2022年度の削減率は2020年比で5.4%増加し、前年度比0.1%増に留まった。プラスチック包装材を大幅削減した製品の発売により、今後削減率は改善していく見込み
- 使用済み回収製品のリユース・リサイクル率は83.9%で、2019年度からほぼ横ばい。2030年の目標は87.5%以上、2050年は93.5%以上。単純焼却・埋め立て率は2.5%で、2019年度からほぼ横ばい。2030年の目標は0.5%未満、2050年は0%
- 事業活動における排出物発生量は2020年度・2021年度比で増加したものの、水使用量は設備排水の再利用や水資源の社内循環徹底で使用量減少が続いている
リコーグループの代表取締役 社長執行役員・CEOである大山晃氏は、「サーキュラーエコノミー型のビジネスモデルの推進は、大きなビジネスチャンスを生み出す」と強調。リコーグループは同レポートを通じ、活動についてのステークホルダーの理解、およびステークホルダーとのコミュニケーションを図るとともに、新たな知見をもとに今後のレポート作成に努めていきたい考えだ。
なお、リコーグループは同レポート刊行と同時に、「リコーグループ統合報告書2023」「リコーグループTCFDレポート2023」「リコーグループESGデータブック2023」も発行した。
【プレスリリース】「リコーグループ統合報告書2023」、「リコーグループTCFDレポート2023」、「リコーグループ サーキュラーエコノミーレポート2023」および「リコーグループESGデータブック2023」を発行~4つの報告書の特性を活かした情報開示やステークホルダーとの対話を推進~
【参照レポート】リコーグループサーキュラーエコノミーレポート2023
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*冒頭の画像の出典:リコーグループ