ロート製薬株式会社はこのほど、製品の保管・荷役時の物流資材として、素材の一部に海洋プラスチックを活用したプラスチックパレットを導入し、2022年8月より順次使用を開始すると発表した。同取り組みは、物流における環境負荷低減を目的としている。

2021年3月、同社は「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」に加盟し、取り組みを進めてきた。CLOMAは2019年に設立された企業連合プラットフォームで、日本国内および世界のプラスチックに関わる課題解決に貢献することを目的としており、2022年7月29日時点で478組織が参加している。

ロート製薬株式会社は、海洋プラスチックごみ問題への取り組みの一環としてリサイクルパレットを導入することで、海洋プラスチックの流出防止と削減に寄与できるとみている。

これまでも同社は、物流センターにおいて輸送合理化によるCO2排出量削減に向けたモーダルシフト(※1)や共同配送(※2)などに取り組んできた。そのほかにも、次のような省エネ活動や省資源・省廃棄活動を推進してきた。独自の環境マーク「R・ecoマーク」・小売業と協業した容器回収プログラム・環境配慮型の商品容器包装など、商品開発分野における環境負荷削減に向けた取り組みである。

ロート製薬株式会社が導入したパレット(出典:ロート製薬株式会社)

同社が今回導入したパレットには、「PlasticSmart」のロゴが印字されている。PlasticSmart は、世界的な海洋プラスチック問題を解決するべく個人・自治体・NGO・企業・研究機関などによる取り組みを推進するキャンペーンで、2018年に環境省が開始した。2022年8月13日時点で、2921件の取り組みが登録されている。

プラスチックは形成しやすく、軽くて丈夫で密閉性も高いため、製品の軽量化や食品ロスの削減など、私たちの生活に貢献しているが、海洋流出による環境悪化や漁業・観光への悪影響などの問題も生じている。こうした問題を解決するべく、2019年に開催されたG20大阪サミットでは、2050年までに新たな海洋プラスチック汚染ゼロを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が採択された。同ビジョンでは、プラスチック製品の使用抑制と環境への流出削減などとともに、プラスチックの資源循環に向けた地域活性化のシステム推進が、重点的に取り組む柱として掲げられた。今回のロート製薬株式会社の取り組みは、プラスチックの資源循環に貢献するものであり、今後こうした取り組みが推進されていくことが期待される。

※1 モーダルシフト:トラックなどの自動車で展開されている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用に転換すること
※2 共同配送:複数の卸売業者やメーカーが同じ配送先の荷物を持ち寄り、共同で配送する仕組みのこと

【プレスリリース】一般用医薬品業界初・海洋プラスチックごみをアップサイクルしたリサイクルパレットを物流資材として導入
【関連記事】ブリンケン米国務長官、海洋プラスチック汚染への取り組み強化を表明
【関連記事】広島県、「2050 輝く GREEN SEA 瀬戸内ひろしま宣言」を発表。海洋プラスチックごみゼロを目指す
【関連記事】Alliance to End Plastic Waste、地球規模での廃プラ管理改善に向けJICA・CLOMAと覚書締結
*記事中の画像の出典:ロート製薬株式会社