自動認識ソリューションを提供する株式会社サトーと、トレーサビリティソリューションを手がけるスタートアップの株式会社LOZIは6月24日、業務提携契約を5月に締結したと発表した。
この提携は、製品の生産から廃棄・リサイクルまでの流れを可視化する動静脈物流の効率化と、欧州連合(EU)で導入が進む「デジタル製品パスポート(DPP)」に対応する次世代トレーサビリティの共創を目的とする。
今回の提携の背景には、EUの「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)」の一環として、電池や繊維製品、電子機器などを対象に導入が義務化される、製品のライフサイクル情報を電子的に記録・追跡する仕組みである「デジタル製品パスポート(DPP)」への対応がある。この規制強化により、日本企業においてもサプライチェーン全体のトレーサビリティを確保する必要性が高まっている。
サトーは、バーコードやRFIDなどの自動認識技術を核に、主に生産から販売までの「動脈物流」におけるソリューションに強みを持つ。同社は中期経営計画で、モノに個別IDを付与してサプライチェーン全体で情報を追跡する仕組みの構築を掲げている。一方、LOZIは、スマートフォンで完結するノーコード型のトレーサビリティツール「Smart Barcode®」を提供。このツールは、サプライチェーン上の任意の地点で、不特定多数の事業者が情報を記録・共有できる柔軟性を持つ。
LOZIの「Smart Barcode®」は、すべてのバーコードに固有の情報を紐付け、物流や製造工程における追跡を可能にする。ノーコードでトレーサビリティのシナリオを設定でき、各種センサーやブロックチェーンとの連携も可能だ。初期導入が容易な点と現場課題に対する柔軟な対応力が特徴だ。
今回の提携により、サトーが持つ動脈物流のソリューションと、LOZIの柔軟なトレーサビリティツールが連携する。これにより、製品の生産・流通(動脈)から、回収・廃棄・リサイクル(静脈)まで、製品ライフサイクル全体を一貫して追跡する、産業間で副産物を融通し合う「産業共生」の基盤ともなる動静脈物流の効率化が期待される。両社は、ユーザー固有のサプライチェーンに柔軟に対応できるシステムの提供を目指し、次世代トレーサビリティにおける新たな価値創出と社会課題の解決に貢献していく方針だ。
【プレスリリース】サトー、LOZIと業務提携し動静脈物流の効率化を共同推進
【関連記事】サトーとエンビプロ、リチウムイオン電池リサイクル過程のデジタル化実証実験成果を発表
【関連記事】ナカダイHDとサトーHD、廃棄物の再生資源過程をデジタル化。データ蓄積とトレース可能なシステム構築に前進
【関連記事】ナカダイHDとサトーHD、資源循環に向けたトレーサビリティシステム構築で協業開始
