英国の高級百貨店大手セルフリッジズが、取扱い商品に利用できる素材を各種認証済みのものや持続可能な形で調達されたものに限定する方針を発表した。高級百貨店での取り組みとしては、世界で初めてとみられる。

これは、同社が2025年に向けて300を超えるサプライヤーや顧客とともに新たに取り組む温室効果ガス削減へのイニシアチブ「Project Earth」の一環として行うもの。同イニシアチブによると、まずはプラスチック・紙・コットン・ココア・羽毛・皮革・肉・森林由来ファイバー(セルロースなど)・パーム油という、調達をめぐる環境・社会的課題の大きい9つの素材のチェックに注力するという。調達時の確認については、環境・社会の各領域を専門とする12の業界団体やNGOとのパートナーシップを通して実施。パートナーやサプライヤーには、同社の「倫理的取引基準」「サプライヤーを含めた内外部通報制度」「環境経営計画」への賛同を求める。同イニシアティブは、SBT(サイエンスベースドターゲッツ)や2050年までの二酸化炭素排出実質ゼロ目標へのコミットメントを果たすための具体的内容となる。

「リペアコンシェルジュサービス」で洋服やバッグなどの修理も

同社ではこのほか、リペアコンシェルジュサービスを通じて洋服やバッグ、靴、宝飾の修理サービスも始める。さらに、リユース商品の販売や洋服のレンタルサービスにも乗り出す。

セルフリッジズグループのAlannah Weston会長は「新型コロナウイルスの世界的な流行で、われわれのシステムがいかに脆弱で複雑かと思い知らされた一方で、共通の目的に沿ってともに行動することで、地球環境にとっても私たち人間にとっても恩恵をもたらせることも知った。私たちは今こそ、人類と自然を再生する方法で持続可能な小売業を再構築するための一層の努力をするべきだ」などと述べている。

今回の同社のような小売り業界のビジネスモデル変革につながる取り組みは、商品を供給するあらゆる業界にサステナブルな調達や生産への転換を促す大きなきっかけになるだろう。

【Project Earth】Selfridges公式ウェブサイトより
【参考記事】Selfridges launches Project Earth in push towards sustainability