環境省はこのほど、2021年度の食品ロスの発生量は推計約523万トン(家庭系約244万トン、事業系約279万トン)と発表した。2020年度の522万トン(家庭系約247万トン、事業系約275万トン)から微増した。

世界の食料廃棄量は年間約13億トンで、人の消費のために生産された食料の約3分の1が廃棄されており、食品ロス削減は世界的な課題となっている。

日本は、食品廃棄物などの発生抑制を含む食品循環資源の再生利用などを推進するべく、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(以下、食品リサイクル法)」および「食品ロスの削減の推進に関する法律(以下、食品ロス削減推進法)」を定めている。これらの法律に基づき、国・自治体・事業者などは取り組みを進めてきた。

国連の持続可能な開発目標(SDGs)では、2030年までに世界全体の1人当たりの食料廃棄を半減することが目標の一つに定められている。国内では、「第四次循環型社会形成推進基本計画」と食品リサイクル法に基づく「食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針」において、家庭系および事業系の食品ロスを2030年度までに2000年度比で半減する目標(目標値489トン)を設定。食品ロス削減推進法に基づく「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」においても、これらの削減目標の達成を目指して取り組むことが定められている。

環境省は、食品ロス発生量の詳細な推計を2012年度から実施している。2012年度は642万トン(家庭系約312万トン、事業系約331万トン)、2017年度は612万トン(家庭系約284万トン、事業系約328万トン)で、食品ロス発生量は減少傾向がみられる。しかしながら、2030年度までに目標値489トンを達成するには、事業者および家庭の双方のさらなる取り組みが必要だと環境省はみている。

こうしたことから、環境省はさまざまな取り組みを実施している。主な取り組みは、食品ロスに関する情報を関係主体向けに集約した「食品ロスポータルサイト」の作成と更新、食品廃棄ゼロに向けたモデル事業の実施、飲食店での食べ残しを持ち帰る行動「mottECO(もってこ)」の推奨、自治体および地域のフードバンクなどの組織向け「フードドライブ(※)実施の手引き」の作成と公開だ。

食品ロス削減は資源循環と炭素中立型の経済社会を形成するうえで重要な課題であり、環境省は、関係省庁・自治体・事業者などと連携して、食品ロス削減に向けて今後も取り組みを進めていく意向だ。

※ フードドライブ:家庭で余っている食品を集めて、食品を必要としている地域のフードバンクなどの生活困窮者支援団体、子ども食堂、福祉施設などに寄付する活動

【参照サイト】我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和3年度)の公表について
【参照サイト】我が国の食品ロスの発生量の推移
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