ニューヨーク州議会はこのほど、電子機器を対象とする「修理の権利」法案を可決した。NPOの米Repair.orgによると、「デジタル公正修理法」と呼ばれる同法が可決された場合、二ューヨーク州は米国で最初に同法を可決した州になる。
同法は、州内でデジタル電子機器を販売する全メーカーに対して、デジタル電子機器の部品・機器診断・説明書を消費者や独立系修理業者に提供することを求める。これにより、製品の長寿命化と地域の修理業者における雇用創出が期待される。今後、同法はキャシー・ホークル知事に提出され、同知事が署名すると法案成立となり、法案成立の1年後に発効する。
世界で多く排出されている電子廃棄物の削減には、長期間利用できる設計や回収・リサイクルの仕組みの構築が求められており、欧米をはじめとする国々で現在、「修理する権利」への関心と規制強化の動きが高まっている。米国では2021年7月、「修理する権利」に関する規則の策定を米連邦取引委員会(FTC)に指示する大統領令が発令され、FTCは修理制限に対する法執行の強化を可決した。民間企業も修理に関する取り組みを進めている。コンピューター製造の米Frameworkは修理でアップデートできるノートパソコンを発表し、アップル・マイクロソフト・サムスン電子なども自己修理プログラムの開始を公表した。
二ューヨーク州の「修理の権利」法案の展開と、同法案を受けての米国・世界の今後の動向が注目される。
このほかにも、ニューヨーク州議会には「ファッションの持続可能性と社会的説明責任法案(ファッション法案)」が提出されている。同法案は、ファッションメーカーと小売業者に対する環境および社会的デューデリジェンス方針開示の義務付けと、環境コミュニティ慈善基金の設立を目指す。ニューヨーク・タイムズによると、同法案が可決された場合、ニューヨークはファッションメーカーと小売業者に持続可能性開示を義務付ける米国初の州となる。
【参照サイト】Enacts the digital fair repair act
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