シャープ株式会社は6月19日、洗濯機や冷蔵庫などの白物家電の商品企画・技術担当者を対象とした「リサイクル設計研修」を、同年4月21日と22日に実施したと発表した。この研修は、製品が使用済みとなった後の解体やリサイクルを設計段階から考慮に入れることで、資源循環を促進することを目的としている。

研修は、シャープと三菱マテリアル株式会社が中心となり設立した家電リサイクル事業会社、関西リサイクルシステムズ株式会社(大阪府枚方市)の本社工場で実施された。洗濯機・冷蔵庫・エアコンの設計や企画に携わる担当者やESG推進担当者など、2日間でのべ25名が参加した。参加者は、家電リサイクル法における製造事業者の責務や、再生材利用に関する法規制の動向についての講義を受けた後、実際にリサイクル工場を見学。さらに、使用済みの洗濯機、冷蔵庫、エアコンの解体作業を自ら体験した。

この取り組みの背景には、製品の廃棄後の解体や素材ごとの分別を容易にする「リサイクル設計」の重要性の高まりがある。製品の構造や使用する素材を工夫することで、リサイクル工程の効率を高め、プラスチックなどの資源回収率を向上させることが可能だ。

シャープは、使用済みの自社製品から回収したプラスチックを再び自社製品の原料として利用する「自己循環型マテリアルリサイクル」を推進している。2024年5月に成立したGX推進法に伴い、資源有効利用促進法が改正され、2026年4月からは特定製品における再生材の利用が義務化される見込みだ。この法改正への対応としても、リサイクル現場で高純度の単一素材を効率的に回収できる製品設計は不可欠となる。

研修の最後には、参加者がグループに分かれ、解体実習を通じて得た気づきや改善点について議論した。また、関西リサイクルシステムズの現場作業員から、日常業務で感じる課題や設計に対する改善要望が共有され、設計者とリサイクル現場の担当者が直接意見を交わした。

参加者からは、講義や実習を通してリサイクル配慮設計の重要性を体感できたとの声や、自身の担当製品を解体することで構造や材質に関する新たな気づきを得られたとの感想が挙がった。この研修は2009年から継続的に実施されており、今回で19回目、累計参加者数は267名にのぼる。

【プレスリリース】サーキュラーエコノミーの取り組み:設計からリサイクルを視野に入れた白物家電の「リサイクル設計研修」を実施
【参照情報】「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案(GX推進法案)」が閣議決定されました(経済産業省)
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