清水建設株式会社は5月8日、建設現場で発生する多種多様な廃プラスチックを、材質ごとに現場で高度分別し、再資源化材として有価売却する新たなマテリアルリサイクルスキームを構築したと発表した。この取り組みは、資源循環社会の実現に貢献することを目的としている。

建設現場では従来、回収された廃プラスチックの多くが焼却によるサーマルリサイクルに供されてきた。一部でマテリアルリサイクルの試みはあったものの、特定のプラスチック製品の回収に限定されることが多く、産業廃棄物の大きな割合を占める廃プラスチックの包括的な再資源化は課題であった。

清水建設が構築した新スキームでは、現場の作業員がハンディ型のプラスチックセンサーを使用し、ポリエチレンやポリプロピレンといった廃プラスチックの材質を識別する。この分別作業は、現場の廃棄物保管場所に設けられた「資源回収ヤード」で、廃棄物管理の専任作業員「グリーンマスター」が中心となって行う。選別の際には、付着物の状態や汚れの程度も考慮し、有価売却が可能な再資源化材を選び出す。特に軟質の非塩化ビニル系廃プラスチックについては、圧縮機で減容化することで、運搬時の二酸化炭素排出量削減も図る。

資源回収ヤード

このスキームは、「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」の建設現場で初めて導入された。同現場では、軟質・硬質の非塩化ビニル系プラスチックや塩化ビニル管などを主な対象とし、発生する総廃棄物量の約2割に相当する約4,000立方メートルの廃プラスチックが有価売却の対象になると想定されている。

選別された廃プラスチックは、関東圏のリサイクラー(再資源化事業者)によって利用可否が判定された後、リサイクルプラントへ搬出される。プラントでは、材質ごとに細かく粉砕されてフレーク状になり、一部はさらに溶かされて粒状の再生ペレットに加工される。これらのフレークや再生ペレットは、プラスチック製品の原料として再生プラスチック製品メーカーに販売される。

清水建設は、このマテリアルリサイクルスキームを自社の他の建設現場へも順次展開していく方針であり、建設業界における資源循環の推進に貢献する考えだ。

【プレスリリース】建設現場で発生した多種多様な廃プラスチックを再資源化

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