サントリーグループは10月28日、使用済み食用油(廃食油)由来のパラキシレン(バイオパラキシレン)を使用したペットボトルを商品に導入することを発表した。同社によると、商品への導入は世界初の取り組みであり、従来の化石由来原料から製造されたペットボトルに比べて大幅なCO2排出量の削減が期待されるという。

本取り組みはマスバランス方式によるものであり、今回の導入は約4,500万本の飲料用ペットボトルに相当する。マスバランス方式とは、特性の異なる原料が混合される際に、特定の特性を持つ原料の投入量に応じて製品にその特性を割り当てる手法のこと。

ペットボトルの原料であるPET樹脂は、70%がテレフタル酸(パラキシレン)で占めている。サントリーはENEOS株式会社や三菱商事株式会社などと連携して、廃食油由来のバイオナフサを調達、パラキシレンとして実用化しペットボトルを製造する、グローバルなサプライチェーンを構築した。

バイオナフサは持続可能な航空燃料(SAF)の製造過程で生成されるため、今後のSAF製造の拡大に伴い、サプライチェーンの整備が重要となる。同社はステークホルダーと連携し、バイオマス資源由来のペットボトルの量産化に向け、体制構築を進めていく方針。

サントリーグループは、2030年までにグローバルで使用するすべてのペットボトルをリサイクル素材または植物由来素材に切り替える目標を掲げており、化石由来原料の新規使用をゼロにする方針を示している。また、独自の「2R+B(Reduce・Recycle+Bio)戦略」に基づき、ペットボトルの軽量化や水平リサイクルを推進。2023年には、国内の清涼飲料事業で使用されるペットボトルの半数以上が、100%リサイクルペットボトルだったという。

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