竹中工務店、鹿島建設、栗本鐵工所、コトブキ技研工業、三和石産、成友興業、八洲コンクリート、吉田建材ら7社は8月28日、共同研究先の明治大学や業務委託先の竹中土木と共同で、省エネルギー・省CO2・省資源型サーキュラーコンクリートの開発に着手したことを発表した。本プロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」の重点課題推進スキームで進められている。

サーキュラーコンクリートは、CO2排出を抑制する環境配慮型セメントと、解体コンクリート(建物などの解体時に生じるコンクリート)や戻りコンクリート(新築工事で余剰となり、生コン工場に返却されるコンクリート廃材)から回収されたリサイクル骨材を使用する。本プロジェクトは、コンクリート体積の7割を占める骨材の再利用技術を発展させ、資源の循環利用を実現することを目指している。

日本国内では年間約1.4億トンの天然骨材がコンクリートの材料として採取されており、天然資源の保護や環境負荷の低減が課題となっている。その一方で、建物解体に伴い年間約4,000万トンの解体コンクリートが発生。また、戻りコンクリートは年間400万トン発生しているものの、再利用できる骨材は自社の生コン工場での発生分に限られ十分な量が回収されず、再資源化工場に蓄積して骨材を回収・再利用するための技術基準もなかった。

そのため、解体コンクリートや戻りコンクリートの多くが道路用路盤材として再利用(ダウンサイクル)されてきたが、都市部の道路建設需要が減少する中、道路需要の残る地方への運搬が課題となっていた。

本開発では、①省エネ・低価格・高処理能力の再生骨材製造装置の開発と既存の製造装置の改良、②再生骨材の効率的な製造・品質管理手法の開発、③戻りコンクリートを再資源化工場に蓄積し、回収骨材として利用する仕組みの開発、④環境配慮型セメントとリサイクル骨材を使用したサーキュラーコンクリートの開発、⑤再生骨材製造時に発生する副産物の用途開発が進められている。

本プロジェクトを通し、都市部におけるサーキュラーコンクリートの社会実装と市場開拓を進め、コンクリートに関わる環境負荷の低減を目指す。また、鹿島建設と竹中工務店らが幹事会社を務めるCUCOが、グリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」で開発中のカーボンネガティブコンクリートとも密接な関連があり、さらなるコンクリートの環境負荷低減技術の普及につながると期待されている。

【プレスリリース】省エネルギー・省CO2・省資源型サーキュラーコンクリートの開発に着手 コンクリート廃材から骨材を回収・再利用し、サーキュラーエコノミーに貢献
【参照記事】NEDOグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」鹿島・デンカ・竹中工務店を幹事会社とするコンソーシアム 本格始動
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(※画像の出典:株式会社竹中工務店)