株式会社ワークスタジオはこのほど、「繊維リサイクルプロジェクト」を開始した。同プロジェクトは、マテリアルリサイクルで繊維を再資源化することで繊維産業のサーキュラーエコノミー加速を目指す。

マテリアルリサイクルによる繊維リサイクルは、ケミカルリサイクルの課題を解決できると同社は考え、多様な繊維リサイクルのソリューションを提供している。

ファッション業界による環境負荷を軽減するべく、同プロジェクトでは回収・再生・応援の工程を多くの企業と共に進め、一気通貫型の「企業参加型 繊維リサイクルループ」構築を目指す。各工程の概要は、以下である。

  • 回収:多数の企業が協力し、アパレル企業の余剰在庫・繊維商社の余剰繊維・工場の生産過程で発生する繊維屑(廃棄衣類・廃棄繊維)を回収する
  • 再生:多数の企業が協力し、回収した繊維をマテリアルリサイクルで他の素材に再生する
  • 応援:多数の企業が協力し、上記の工程で製造された素材を応援する

同プロジェクトでは、再生工程の一部を障がい者福祉施設に業務委託するとともに、売上の一部を障がい者福祉施設に毎月寄付している。同プロジェクトに参加することの利点について、株式会社ワークスタジオは以下のように公表した。

  • 単独では達成できない圧倒的なアイデア・スピード感・リサイクル量でファッションロス問題解決に貢献し、サステナビリティ・ESG・CSV・CSRへの取り組みを加速できる
  • 多数の企業の協業により出口戦略(応援工程)が拡大され、繊維リサイクルを加速できる
  • グリーンウォッシュではない真のサステナビリティを実践でき、消費者から共感が得られ、企業価値を高められる

こうした取り組みを展開している同プロジェクトが開発したのが、循環型繊維リサイクルボード「PANECO」だ。最終的に焼却処分される繊維を回収し、特許取得済みの独自技術を用いて国内でボードに再生する。PANECOは、既存の木質ボードの代替素材として家具・店舗什器・オフィス家具などのさまざまな用途に使用できるとしている。PANECOは御影石のような外観を持ち、優れた強度・加工性・質感を持つと株式会社ワークスタジオは公表している。

フランスでは2022年1月から、衣料品の売れ残り製品の埋め立てと焼却が禁止され、リサイクルや寄付が義務付けられるなど、⾐服の廃棄削減に向けた取り組みが現在世界で進められている。株式会社ワークスタジオは、日本はいまこそ国家・国民・企業が共同で環境先進国を目指すべきであるとし、繊維リサイクルによる循環型社会構築を通して日本の新しい未来に貢献していきたいとの考えを示した。同プロジェクトが、ファッション業界のクローズドループ実現に寄与していくことが期待される。

【プレスリリース】リネン(事業系廃棄物)の再資源化(リサイクル) | リネンリサイクルプロジェクト | ワークスタジオ
【参照サイト】繊維リサイクルプロジェクト
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