帝人フロンティア、倉敷紡績、地球環境産業技術研究機構(RITE)、東レ、日清紡テキスタイル、日本毛織の6者は10月27日、廃棄衣料品を再び繊維として再利用する「繊維to繊維」の資源循環構築を目指すコンソーシアム「Consortium for Fiber to Fiber(CFT2)」を設立したと発表した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「バイオものづくり革命推進事業」に共同提案したプロジェクトが採択されたことを受けたもので、各社の技術や知見を結集し、循環型社会の実現を目指す。
環境省の調査によると、日本では年間約51万トンの衣料品が家庭などから手放され、そのうち約65%にあたる約33万トンが焼却・埋め立て処分されている。リサイクルされるのは約17%に留まっており、その多くは工業用雑巾などへリサイクルされるダウンサイクルだ。再び衣料品の原料となる「繊維to繊維」の水平リサイクルは技術的な難易度が高く、特に綿とポリエステルといった複数の素材からなる複合繊維製品のリサイクルは大きな課題となっていた。
今回設立されたコンソーシアム「CFT2」は、この課題解決に向けて、これまで再資源化が困難であった複合繊維素材の廃棄衣料品を主要な対象とする。具体的には、酵素を用いて特定の繊維を選択的に分離する技術や、微生物の働きで繊維を原料レベルまで分解し再資源化する「バイオリサイクル」と呼ばれる技術開発を推進する。さらに、参画する繊維企業5社がこれまで培ってきた、古着を機械的に裁断して繊維に戻すメカニカルリサイクルや、化学的に分解して原料に戻すケミカルリサイクルの技術も活用し、天然繊維と合成繊維の両方に対応した、世界でも先進的な衣料品の資源循環システムの構築を目指す。
本プロジェクトは、NEDOがグリーン成長戦略の実現に向けて推進する「バイオものづくり革命推進事業」の一環として採択された。同事業は、微生物などの生物機能を活用して、化学合成では製造が難しい物質を効率的に生産する「バイオものづくり」技術の社会実装を支援するものだ。
コンソーシアムでは、各者が専門性を活かして研究開発を進める。繊維企業5社(帝人フロンティア、倉敷紡績、東レ、日清紡テキスタイル、日本毛織)が廃棄衣料品の再資源化技術の開発・実証を、そのうち帝人フロンティアと東レが再活用に向けた選別技術の開発・実証を担当する。地球環境産業技術研究機構(RITE)は、再資源化の鍵となる産業用酵素や微生物の開発プラットフォーム構築と、バイオリサイクル技術の確立・高度化を担い、6者共同でバイオものづくり製品の社会実装に向けた評価手法なども検討していく計画だ。
【プレスリリース】「繊維to繊維」の資源循環構築を目指し、 NEDO「バイオものづくり革命推進事業」採択事業者がコンソーシアムを設立
【参照情報】環境省「SUSTAINABLE FASHION」
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