豊田通商株式会社は7月11日、同社の完全子会社である豊田通商アメリカを通じて、米国のリサイクル企業Radius Recycling, Inc.(以下、ラディウス社)の全株式取得を完了し、完全子会社化したと発表した。この買収は2025年3月14日に公表された合併契約に基づくもので、これによりラディウス社は所定の手続きを経て、米Nasdaq市場から上場廃止となる予定だ。

ラディウス社は1906年設立の歴史ある企業で、オレゴン州ポートランドに本社を構える。豊田通商の発表によると、同社は年間約450万トンの鉄リサイクル品、約30万トンの非鉄リサイクル品、66万台の使用済み自動車、380万点の中古部品を取り扱う北米でも有数のリサイクル事業者だ。アメリカ、カナダ、プエルトリコに100カ所以上の自動車解体施設や金属リサイクル施設を持つほか、オレゴン州には自社の電炉も保有する。これらの拠点網と高度な加工・選別技術を活かし、高品質な再生資源を国内外の顧客に安定供給することを強みとする。

豊田通商は、半世紀以上にわたり金属スクラップや使用済み自動車の再資源化事業に取り組んできた。今回の買収により、同社が持つ再生資源を軸としたサプライチェーン構築機能と、ラディウス社の持つ広範なリサイクル網および製造能力を融合させる。

この統合を通じて、北米における高品質な再生資源の供給体制を強化するとともに、ラディウス社の革新的な製造プロセスを活用し、グローバルな製造業における脱炭素化にも貢献していく。豊田通商は、グローバルでの資源循環事業を推進することで、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを加速する方針だ。

【プレスリリース】米国Radius Recycling Inc.社の全株式取得完了について
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