オランダ発のグローバルスタートアップであるTYPICA(ティピカ※)は、オンラインプラットフォーム「TYPICA」を4月6日に始動した。
TYPICAは、これまでコンテナ単位18トンでの取引が基本とされていたコーヒー生豆の直接取引を麻袋一袋単位60kgから可能にするオンラインプラットフォームだ。輸出のための資源を持っていない小規模生産者でもコーヒーを簡単に出品でき、トレーサビリティ向上を目指す自家焙煎コーヒー事業者(以下、ロースター)が直接購入できる仕組みを実現した。
気候変動やコーヒー国際価格の下落、新型コロナウイルス感染症などにより、生産地・輸出量の減少や農家の生活困窮、転作・離農が懸念されていると同社はみている。一方、2020年10月に同社が利用者向けに実施した「コロナウイルスによるインパクト調査」では、ロースターの73.1%がコーヒー豆の販売が増加し、76.9%がEC売上が増加したと回答した。コロナ前後でEC売上が5倍以上成長したロースターもあるなど、コーヒー生豆取引のデジタルトランスフォーメーション(DX)が拡大しており、直接取引をオンラインで完結できるプラットフォームの重要性はさらに高まっていると同社は考える。
(出典:TYPICA株式会社)
TYPICAはコーヒー生豆流通のDXにおける先駆者であり、直接取引を活性化することでコーヒー生産者の収益性確保と、高品質コーヒーのサステナビリティ向上を目的とするとしている。コーヒーは農園の標高や豆粒の大きさなど定量的に評価されてきたと同社は認識しており、TYPICAでは品質で定性的に評価するスペシャルティコーヒーのマイクロロット(小規模生産者がつくるロット)を直接取引できる機会を最大化する。これにより生産者の経済性が高まり、生産努力が生活向上に直結して発展途上国の貧困をなくすきっかけの一つになると同社は考える。加えて、これまでは手に入らなかった希少価値の高い新鮮なコーヒー生豆を買い付けできることで、スペシャルティコーヒーのシェアが高まり、生活者が日常的に飲むコーヒーが多種多様で生産地の個性を楽しめるものになるとみている。
実証実験では全国約500軒のロースターがすでに登録し、200軒以上がTYPICAを通してコーヒー生豆を購入した。同社は2025年までに世界の2,000軒以上のロースターと30カ国の農家5,000軒による利用を目標に、TYPICAを通じてコーヒーを愛する世界中の人がつながれる社会を目指す考えだ。
(出典:TYPICA株式会社)
同社は、流通を最適化するとともに、生産者や物流事業者の収益などの情報を見える化して経済透明性を確保することで、適正価格でコーヒー豆を届けられるビジネスモデルに注目してほしいとしている。なお、TYPICA始動に伴い、コーヒー生産者から直接取引された旬のコーヒーを提供する全国のロースターをマッピングした公式サイトも公開した。
※ TYPICA:日本法人のTYPICA株式会社とオランダ法人のTYPICA B.V.が運営
【プレスリリース】コーヒー生豆流通のDXを加速!世界初のオンラインプラットフォームTYPICA(ティピカ)が本格ローンチ。コーヒー生産者とロースターによる、麻袋一袋単位でのコーヒー生豆ダイレクトトレードが可能に。