世界自然保護基金(以下、WWF)と英エレン・マッカーサー財団、およびコンサルティング大手の米ボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)の3者は報告書「The Business Case for a UN Treaty on Plastic Pollution」を作成し、プラスチック汚染に関する国連条約制定に向けて呼びかけている。

プラスチックの循環型経済への移行を加速するには、現在の取り組みの拡大が急務である。そこで同3者は、拘束力のある目標を設定する国際的合意が必要であり、その合意は政策努力の調和と投資計画の強化、イノベーション促進とインフラ開発という4つの項目を満たさなくてはならないとの見解を示した。

約200万人が同条約を求めていることに加えて、欧州連合やアフリカ、カリブ海諸国、バルト海諸国、北欧、太平洋島嶼国など、国連加盟国の3分の2以上が、新しいグローバル条約を検討する準備があることを公表している。同条約の交渉を開始をするか否かについては、2021年2月に開催される第5回国連環境総会(UNEA5)で議題に上る予定だ。UNEAが公表した2017年の調査では、現在のプラスチックに関する国際的枠組みは、包括的でも効果的でもないと結論づけている。

現在3者は、同条約制定に向け、多くの企業に参加を促している。参加はこちらから可能だ。

「近年、プラスチック汚染に対処するために、企業や政府は重要な対策を行ってきました。500以上の組織がニュープラスチックエコノミーグローバルコミットメントに署名し、プラスチックが廃棄物や汚染にならない循環型経済を達成するための明確な目標を設定しています。しかし、自主的な取り組みだけではプラスチック汚染解決に十分ではなく、政府や政策立案者が重要な役割を担っていると当財団は確信しています。プラスチックの循環型経済のビジョンに基づいた拘束力のある国際的合意は、プラスチック汚染への統一した国際的な対応を確実にします」と、エレン・マッカーサー財団創設者兼理事長のデイム・エレン・マッカーサー氏は述べている。

「過去数年間、プラスチック汚染に対する行動への需要が高まり、一部の政府や業界はこの問題に関する自主的措置を始めましたが、これにはより良い調整と国際的な条約が生み出す推進力と認識が必要です。企業は自社のサプライチェーン内のプラスチック汚染に対処する明確な責任を負っていますが、より広範なシステムの変更が不可欠です」と、WWFインターナショナルのマーケット・プラクティス責任者であるクリスティアネ・クロース氏は語る。

そして、BCGの西欧・アフリカ・南米のソーシャルインパクトおよびサステナビリティ実践責任者であるジェスパー・ニールセン氏は、「企業にとって国際的合意は運用の複雑さを軽減し、報告を簡素化し、バリューチェーン全体でプラスチックへの投資を決定的に促進する可能性があります」とコメントしている。

【プレスリリース】NGOs and businesses call for UN treaty on plastic pollution
【参考】THE BUSINESS CALL FOR A UN TREATY ON PLASTIC POLLUTION