英国では多くの地域で、資源ごみの分別がない。一部の自治体で植栽ごみや有機ごみの回収があることを除けば、一般的に回収されるのは「一般ごみ」と「資源ごみ」の2種類で、金属・紙・ガラスなど異なる素材が混合で回収される。
なぜ資源ごみを素材ごとに分別回収しないのか、筆者が先月見学したロンドンの資源ごみ分別施設の担当者が話してくれた。
「分別回収は、人々の生活を考えると現実的ではないのです。特にロンドンのような都市部では家が狭くて、多くのごみ箱を置くスペースがないので」
確かに英国の家は平均すると日本より狭い。居住者としては、ごみ箱が少なく、分別に悩まなくて良いのは嬉しい。加えて英国では、使い捨て容器の多くにリサイクル可否のラベルが表示されていて分かりやすい。
しかしその「分かりやすさ」が、リサイクル率向上に必ずしも結びついていないのが現状だ。
リサイクル可否の地域差が生む混乱
英国では、分別の間違いによりリサイクル不可のごみが混入する“汚染”が問題視されている。
人々が分別を間違える要因の一つは、地域によってルールが異なることだ。英国でもごみ分別のルールは地域によってさまざまで、地域をまたがり通勤・通学などで移動する場合、職場・学校と家庭で分別ルールが異なるために混乱する人が多いと考えられている。特にロンドンなどの都市部では移民や移住者が多いこともあり、分別間違いが深刻だ。
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山口 真矢子
山口真矢子(やまぐち まやこ)。英国在住。一級建築士、Project Management Professional(PMP)。鉄道会社とエンジニアリング系コンサルティング会社で、建築工事・改修プロジェクトのマネジメント、建築や都市に関わる調査、事業コンセプトの立案などを経験。専門分野:建築工学、施設管理、プロジェクトマネジメント、建築・都市のサステナビリティ。