日本板硝子(NSG)は4月3日、使用済み太陽光パネルのカバーガラスを原料として、フロート板ガラスを製造する実証実験に成功したと発表した。

太陽光発電設備の大量導入から十数年が経過し、国内では2030年以降に廃棄パネルの急増が見込まれている。こうしたなか、再エネ設備の廃棄問題と素材産業の脱炭素をつなぐ取り組みとして注目される。

太陽光パネルのカバーガラスは、モジュール性能を高める特殊なガラス組成であるうえ、耐久性確保のためパネルに強固に接着されている。このため、ガラス単体としての回収や再利用は難しいとされてきた。

今回の実証で用いたカバーガラスは、トクヤマの研究拠点「太陽光パネルリサイクル実証試験施設」(北海道南幌町)で、低温熱分解リサイクル技術によって分離・抽出されたものだ。NSGは今年2月、千葉事業所のフロート窯でこの再生ガラス原料を用いた製造実験を行い、製品品質および製造プロセスへの影響を評価した。その結果、一定条件下でリサイクル原料として問題なく使用できることを確認し、フロート板ガラス製造への水平リサイクルが可能であることを示した。

この循環プロセスが実用化されれば、従来は活用が難しかったカバーガラスの有効利用が進む。加えて、珪砂やソーダ灰などの天然資源採掘量の削減や、再利用ガラスであるカレットの利用拡大による溶融窯の燃焼効率向上が期待され、板ガラス製造工程でのCO2排出量低減にもつながるという。NSGは今回の取り組みについて、板硝子協会が公表した「ガラス産業の2050年カーボンニュートラル実現に向けたビジョン2025」で掲げる「廃棄ガラスのリサイクルシステムの構築」を後押しするものと位置づけている。

太陽光パネルリサイクルについては多方面からの取組が進められている。太陽光パネルの水平リサイクルをめぐっては、PVリボーン協会による、廃棄パネルからガラスや銀、シリコン、銅などの原材料を高純度で回収し、新規パネル製作につなげた先行事例もある。今回のNSGの発表は、こうした分離・回収技術の進展を受け、回収されたガラスを既存の板ガラス製造工程に戻せるかを検証した点に特徴がある。

太陽光パネルに含まれる資源のうち、アルミや銀、銅など価値の高いものについては、すでに一定の再資源化が進んでいる。一方で、重量比で約6割を占めるガラスなどについては、現状では品質や経済性の観点から、市場原理だけでは再資源化が進みづらいという課題がある。今回の実証は、こうしたボトルネックとなっているガラスの再資源化に向けた取組の一つとして位置づけられそうだ。

【プレスリリース】使用済太陽光パネルのカバーガラスを用いた水平リサイクルの実証実験に成功
【参照レポート】ガラス産業の 2050 年カーボンニュートラル実現に向けたビジョン 2025
【関連記事】PVリボーン協会、太陽光パネルの水平リサイクルに成功。原材料を高純度で回収
【関連記事】東京都、太陽光パネルリサイクル推進協議会で実態報告