アパレル・ファッション業界が自然環境に与える負荷は年々増加傾向にあると指摘されている。

Global Fashion Agendaとボストン・コンサルティング・グループの報告書によると、生産工程における環境負荷の一例として、アパレル産業から排出されるCO2は、2015年から2030年の間に60%以上増加し、20億8千万トンになると予測される。廃棄の多さも業界が抱える深刻な課題となっており、年間で9,200万トンの繊維廃棄量が、2030年にはさらに5,700万トン増加すると予測されている。

一着の衣服を作るための資源消費量、利用回数・期間の少なさ・短さ、使用済み衣服のリサイクル体制の不足といった課題、大量生産・大量消費・大量廃棄の傾向は依然として継続している。

こうしたなか、衣類の新規生産を抑え、寿命を延ばし、かつ収益の増大を目指す循環型事業モデルの導入、それを支援する技術の革新・法制度・ガイドライン整備の動きは国内外において進んでいる。

ここ数年の動きとして、欧州ではサーキュラーファッション戦略(2022年公表)やエコデザイン規則(2024年施行)が、日本でも「繊維製品における資源循環ロードマップ」(2024年公表)が発表される等、政策面での進展が見られる。ビジネス面では、循環型素材の開発、服の作り過ぎを防ぎ適正価格での販売を行う仕組み、デジタル・アナログ両面を活用した二次流通拡大に向けた動きなどが一部で進んできた。フレームワークの面では、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)が策定したCTI(Circular Transition Indicators)のファッションガイダンスが発行されるなど、サーキュラーファッションに向けた展開が加速している。

背景には、環境負荷を抑える目的以外にも、このような取り組みに事業機会が眠っていることがある。エレン・マッカーサー財団の報告では、レンタル・再販・修理・リメイクなどの循環型事業モデルは、2030年までに世界のファッション市場の23%にまで成長する可能性があり、推定7000億ドルを創出すると予想されている。

2024年8月29日に開催したオンラインセミナーCircular X では「サーキュラーファッションの現在地〜法規制・ビジネス・技術のここ2,3年の動向から」というテーマで、アパレル・ファッション業界が循環型へと向かうなかで、ここ数年のビジネスモデルの動向、法規制やガイダンスの整備状況、関連イニシアチブなどが、現在どのような状況にあるのかを学ぶ回を開催した。

本記事では、上記Circular Xで概説した内容のうち、サーキュラーファッションを促進する法規制、ガイダンス、関連イニシアチブについて紹介する。

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