エレン・マッカーサー財団はこのほど、「The big Food redesign REGENERATING NATURE WITH THE CIRCULAR ECONOMY(食品の大規模な再設計:サーキュラーエコノミーで自然を再生する)」と題したレポートを発表した。食品業界は気候変動と生物多様性の損失に多大なダメージを与えており、食品をサーキュラーエコノミーの観点でデザインし直す(リ・デザイン)ことによって双方に良い影響を及ぼせる。本レポートは、食品に関わる企業が4つの戦略を組み合わせて推進することがサーキュラーエコノミーを通じた自然環境の再生のカギを握ると説く。4つの戦略とは、具体的にどのようなものなのか――。

*本レポートで言及される「再生的な生産(regenerative production)」とは、土壌を健康的に再生し、地域の生物多様性を豊かにし、大気や水の質を改善するといった、自然環境に対して良い結果をもたらす農業のあり方を指す。

もし、食品が生物多様性を豊かにすることができたら――

現在、食品産業は世界の温室効果ガスの3分の1を排出しているとともに、人為的な生物多様性への圧力の50%以上が食品業界に起因している。こうした中、One Planet Business for Biodiversityのようなイニシアチブによって、生物多様性の再生に貢献する食品生産のポートフォリオづくりに挑戦する企業も出てきている。しかしながら、ビジネスチャンスに満ちた新たな市場に足を踏み入れるだけでなく、気候変動や生物多様性に関わる目標の達成に貢献できる栄養豊富で美味しい食品は、いまだに開発されずにいると言ってよい。

このような状況の下、本レポートは今こそ日用消費財メーカー(FMCGs)と小売業界の大手企業が食品のリ・デザインという新たな市場に参入すべきだと主張する。FMCGsと小売業界は、欧州と英国全体では上位10社が農地全体の約40%に影響を与えている。FMCGsと小売業界が新たな食の生産ポートフォリオを築けば、彼ら自身の温室効果ガス排出削減目標や生物多様性回復の目標の実現に近づけるだけでなく、サプライチェーンのレジリエンスを向上させ、農家の生活環境の向上に資することができる。こうした行動は、製品への環境インパクト表示など政策の変更を促す可能性もある。

では、FMCGsと小売業界は具体的にどのように食品のリ・デザインに取り組むべきなのか――。それは、食品の成り立ちから考えてみると見えてくる。まずは、役割分担の観点でまとめると以下の通りとなる。

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