アビームコンサルティング株式会社は12月5日、株式会社リコーと共同で「プラスチック廃棄物可視化プロジェクト」を開始すると発表した。サーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行を促進するプラスチック廃棄物回収・再資源化スキームの構築を目指し、企業による廃棄プラスチックの可視化と再資源化の用途検討を目的とする。開始時期は2024年1月の予定。同プロジェクトに参画するメンバー企業を募集している。

同プロジェクトは、リコーが開発した「樹脂判別ハンディセンサー」を活用し、企業活動によって廃棄されるプラスチックを判別。アビームコンサルティングがプラスチックの排出量を分析・データ化することで、廃棄の現状を可視化する。集められたデータを基に、効果的な廃棄物回収の手法や、再資源化に向けた方針をメンバー企業と共に検討していくという内容だ。リコーの知見と、アビームコンサルティングの分析力、プロジェクト推進実績を活用し、プラスチック廃棄物のリサイクル高度化を目指す。

プラスチック資源の循環を実現したいと考える企業と連携することで、プラスチック廃棄物の可視化やリサイクルスキームの構築をさらに加速させ、サステナブルな社会実現に貢献することを目的としている。

海洋への流出や石油由来資源の枯渇など、環境保護の観点から廃棄プラスチックについて世界的に危機意識が高まっている。また、日本でも2022年に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック新法)」などを契機に、プラスチックのサーキュラーエコノミーに一層関心が高まり、欧州で導入が予定されているデジタル製品パスポート(DPP)の日本版の導入構想も進んでいる。

一方、プラスチックは多様な化学物質によって組成されており、資源循環の課題となっている。両社は、今回のプロジェクトを、プラスチックをはじめとした素材起点のサーキュラーエコノミー実現に向けた第一歩として位置付け、推進していく方針だ。

プロジェクトでは、リコーが樹脂判別ハンディセンサーや再資源化に向けたアドバイスの提供、アビームコンサルティングが全体マネジメント、データ分析などを行う。プロジェクトの参画企業が一体となり、現在の排出・処理に関する情報共有などを通じて、あるべきリサイクルのオペレーションを検討する。取り扱うプラスチック廃棄物は、テナントやオフィス、工場での製造工程などで排出されたプラスチック廃棄物が対象だ。

プラスチックのサーキュラーエコノミーを推進したい国内企業・自治体などを対象に、メンバー企業を募集している。参加費用は無料で、実験場所と対象廃棄プラスチックの提供が条件となる。

【プレスリリース】アビームコンサルティング、リコーと共同でプラスチックを起点とした循環型経済への移行促進プロジェクトを開始
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