粘着材料・ラベル製品メーカーの米エイブリィ・デニソンはこのほど、DPP as a Service(デジタル製品パスポート・アズアサービス、DPPaaS)の提供を開始した。
同サービスは、コンサルティング・ハードウェア・ソフトウェア・デジタルIDテクノロジー・物理的なラベル・サポートサービスから成るソリューションだ。Intelligent labelとatma.ioコネクテッドプロダクトプラットフォームを通じた同社のデジタルソリューションの一部として、デジタル製品パスポート導入準備に必要な総合的アプローチを企業に提供する。スポーツ用品ブランドの米Burton Snowboardsは、同サービスを初採用した。
デジタル製品パスポートは、欧州グリーンディールと循環型経済行動計画に準じた取り組みだ。2026年にすべての産業用および電気自動車の電池で導入が開始され、その後段階的にほかの製品に導入される。EU市場に投入されるほぼすべての製品が対象で、対象外は食品・飼料・医薬品・動物医療製品など。
エイブリィ・デニソンは、デジタル製品パスポートの共同標準化に向けてEUが資金提供するプロジェクト「CIRPASS」の準メンバーで、必要なデジタルソリューション対策について企業に助言できる能力を持つとしている。同社はすでに、atma.ioを通じてグローバル企業のサプライチェーン全体で個別アイテム300億個を追跡し、カーボンフットプリントに関するデータ・材料の原産地・再利用性など、DPPに不可欠な情報を取得している。
エイブリィ・デニソンのアパレルソリューション・デジタルソリューション部長のJake Hanover 氏は、デジタルトランスフォーメーションは多くの企業に必要だと強調。「当サービスを通して、法令遵守における主要指標の把握に必要なプラットフォーム・デジタルIDソリューション・専門知識を企業に提供し、デジタル製品パスポート導入を加速できる」と述べた。
デジタル製品パスポート導入によって、サプライチェーン内の循環性向上・循環型事業の促進・消費者や投資家へのエンパワーメントと持続可能な製品市場の拡大・監視強化などの効果が期待されている。デジタル製品パスポートはサーキュラーエコノミー移行の一翼を担うと欧州委員会はみており、導入に向けて現在多くの取り組みが進められている。
【プレスリリース】Avery Dennison、DPPaaS(Digital Product Passport as a Service)の提供を開始
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*冒頭の画像の出典:エイブリィ・デニソン