欧州アルミニウム協会(European Aluminium)は4月15日、「循環型アルミニウム行動計画(CIRCULAR ALUMINIUM ACTION PLAN)」を公表した。2030年までにすべての使用済みアルミニウムの効果的な回収とリサイクルを確実にし、サーキュラーエコノミーへの完全移行の可能性を実現する。同計画は、2050年までのビジョン「ビジョン2050(VISION 2050)」をもとに策定。EU加盟国に対して政策アドバイスが含まれている点が特徴だ。

同計画によると、2019年のアルミニウムのリサイクル重量は360万トンで、2050年までに860万トンを目指すとしている。「今後5年間で制定される政策がアルミニウムの生産と消費のあり方を決定づけることになる」ため、同計画が定めた2030年までの期間が重要だという。

アルミニウムは、その軽量性・伝導性・成形性・耐久性・不浸透性・リサイクル可能特性において、元の特質を損なわずに何度でもリサイクルできることが特徴である。現在、市場のアルミニウムの36%はリサイクルされたアルミニウムで供給されており、環境が整えば、今世紀半ばまでに50%を達成できるという。

環境負荷の低減と経済効果の同時達成

リサイクルアルミニウムを作るのに必要なエネルギーは、新地金を作るときと比較して5%ですみ、95%のエネルギーを節減することができる。したがって、CO2排出の大幅な削減にもつながる。同計画では、適切な政策が実行されると、2050年までに年間排出量の46%に相当する3,900万トン程度のCO2排出の削減が可能としている。経済効果としては、アルミニウムをEU域内で循環させることで、域外からの輸入を減少させ、年間60億ユーロ程度(約7,000億円)程度の経済効果が見込める。

同計画は、例えば、道路脇の分別回収ステーションでのアルミニウムの分別や渦電流選別機など、回収・分別への投資を促している。また、循環を容易にさせる設計やイノベーションへの投資、政策面での障壁を取り除くことが必要だと訴える。

同協会事務局長のGerd Götz氏は、「アルミニウム産業はサステナビリティの長期目標である欧州グリーンディールへの取り組み支援を約束します。私たちの目標は2030年までにサーキュラーエコノミーへの完全移行の可能性を実現することであり、達成まで取り組みを停止することはありません」と話す。

また、今回の計画策定を支援した、スウェーデンに本拠をおくマテリアルエコノミクスのパートナーであるPer Klevnäs氏はこう語る。「リサイクルされたアルミニウムをさらに利用できるようになれば、循環型資源で経済を発展させていくことが可能になると同時に、CO2排出も減らせることができます。これを実現するには政策面での支援や各バリューチェーンでの協働、技術的およびビジネスモデルのイノベーションが重要になります」

アルミニウムの今後

日本のアルミニウムのリサイクル率は、ドイツ・ノルウェー・ブラジルなどとともに、世界でもトップレベルを誇る。しかし、2050年までにEU域内で40%の需要増が見込まれると予想している通り、そのリサイクル率の高さと軽量であるという特性などにより、世界的にも需要が拡大する見込みである。「リサイクルの優等生」と言われているアルミニウムだからこそ、グローバルレベルでのさらなるリサイクル率の向上が期待されている。

【参考サイト】Aluminium industry launches Circular Aluminium Action Plan for full circularity by 2030
【参考レポート】Circular Aluminium Action Plan
【参考レポート】VISION 2050