株式会社新東通信、愛知県蒲郡市、竹本油脂株式会社、Niterraグループの日本特殊陶業株式会社は2月21日、蒲郡市内の工場から排出されたCO₂を回収・運搬して、ハウスみかん栽培に再活用するサーキュラーエコノミーの実現を目指した「地域CCU®プロジェクト」の開始を発表した。
「CCU」は「Carbon dioxide Capture and Utilization」の略。同プロジェクトでは、各社が連携して脱炭素の取り組みを行うことで、CO₂を地域に循環させ、カーボンニュートラルを手段として、1次産業の活性化や、観光資源の掘り起こし、雇用創出、まちのブランディングなど地域の社会課題の解消を目指す。
政府が「2050年カーボンゼロに伴うグリーン成長戦略」や「地域脱炭素ロードマップ」など、カーボンニュートラルをはじめとする様々な施策を打ち出す中、同市はサーキュラーエコノミーを実現する「サーキュラーシティ蒲郡」を掲げている。数々の地方創生プロジェクトのプロデュースを行う新東通信のコーディネートにより、日本特殊陶業が竹本油脂とCCUの実証を同市に提案し、同プロジェクトが実現した。愛知県農業総合試験場と豊橋技術科学大学、中部共栄運輸もオブザーバーとして参画する。
同プロジェクトでは、竹本油脂の亀岩工場から排出されるCO₂を、日本特殊陶業の持つ回収技術で流通用ドラム缶に回収し、中部共栄運輸が愛知県農業総合試験場園芸研究部常緑果樹研究室に輸送する。輸送されたCO₂は、ハウスみかんの成長促進用のガスとして実証実験に再活用される。
愛知県農業総合試験場園芸研究部常緑果樹研究室では、ハウスみかんの栽培において高い収穫量を得るため、豊橋技術科学大学の技術協力を得て、ハウス内の温度やCO₂濃度の制御に関する試験を行っている。締め切った冬季のハウスでは、作物の光合成に必要なCO₂が不足する傾向にあることから、現状では灯油を燃焼させ発生したCO₂を利用している。これに対し、同プロジェクトでは工場で排出されたCO₂を農場に提供するサプライチェーンを構築し、地域のカーボンニュートラルに貢献する持続可能な施設農業の確立を目指す。
さらに、履歴管理システムを導入することで、CO₂回収と供給の履歴を残し、最適な提供頻度を見いだし、将来的には地域のCO₂の需要と供給を可視化するデータベースを作る計画もあるという。
本実証は、2024年2月~8月の約6か月間、週10kgのCO2を回収し再活用する計画。2024年~2025年にかけて、ハウスみかんの育成以外にも多用途での再活用を目指し、CO2の小規模販売トライアルも実施予定だという。2030年には、年間10万トンのCO2削減を目指す。
【プレスリリース】蒲郡市・竹本油脂・日本特殊陶業・新東通信4者によるサーキュラーエコノミーの実現を目指した官民合同の「地域CCU®プロジェクト」を展開
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(※画像の出典:株式会社新東通信)