東京大学生産技術研究所・プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社(PPES)・パナソニック株式会社・豊田通商株式会社はこのほど、電池の資源とリサイクルに関する共同研究を開始すると発表した。

共同研究のテーマは、リチウムイオン電池に使用される資源とリサイクル材を原料とした電池材料と製造工程の開発だ。革新的な新規工程を構築し、電池のサプライチェーン全体でのカーボンニュートラル実現と大幅な生産コスト低減を目指す。

以下の項目について、4組織は共同研究を実施する予定だ。

  1. 資源開発から電池材料開発・製造まで一気通貫の新規工程開発:ニッケル・リチウム・コバルトの金属資源開発、精錬工程から電池材料の開発製造まで一気通貫で既存工程を見直し、電池用途に特化した最適な工程を構築する。CO2排出量低減・生産コスト低減・材料生成の時間短縮などの課題解決を目指す。技術開発だけでなく、迅速に商業活用する方策も検討する
  2. 電池廃材・廃電池リサイクルの新規工程開発:電池のリサイクル率向上を目的として、電池製造時の廃材・使用後の廃電池から効率的かつ無駄なくリサイクルするための技術開発を推進する。より一層の安定供給とライフサイクル全体でのCO2排出量・リサイクルコストの大幅低減を目指し、4組織の知見を融合して最適な工程を構築し、技術革新と社会実装に取り組む

4組織はカーボンニュートラルと循環型社会の実現を目標として、電池産業基盤の発展・強化に向け共同研究を進めていく意向だ。なお、4組織は相互の連携と積極推進を図るための「産学連携研究協力協定」を締結した。

現在、リチウムイオン電池の需要は急激に増加しており、2030年までに世界の需要は5~10倍になると予測されている。欧州グリーンディールに基づき、デジタル化と輸送部門における電動化を進める欧州では、その需要は2050年までに約60倍になると見込まれている。リチウムイオン電池の需要拡大による供給不足や破壊的な採鉱事業活動、それに伴う環境負荷などが指摘されるなか、4組織が進める新たな電池や廃電池リサイクル工程の開発が、こうした課題の解決に貢献していくことが期待される。

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