経済産業省近畿経済産業局は5月16日、サーキュラーエコノミーの実現に向け、動静脈産業の連携を重視した「Rethink Designプロジェクト」を推進すると発表した。また、2023年度の先行事例15プロジェクトについて調査し得た知見や事例をとりまとめ、「Rethink Designers Report 2024」として公表した。弊プラットフォームのCircular Economy Hubも事例として選出された。

廃棄物問題や気候変動問題等の環境制約、世界的な資源需要と地政学的な調達リスクの高まりなどの資源制約に加え、成長機会の観点から、サーキュラーエコノミーへの移行を喫緊の課題と同局は位置づけている。サーキュラーエコノミーの実現に向け、生産から小売に至る「動脈産業」と消費後のリサイクルなどを担う「静脈産業」の連携を重視する。

「Rethink Designers Report 2024」は、動静脈連携の先行プロジェクトとして目指す方向性やプロジェクトを通じて生まれた新たな価値について、先行事例である26者、15プロジェクトについて調査・分析を行い、知見や事例をとりまとめている。サーキュラーエコノミーに資するプロジェクトをけん引、デザインするプレイヤー(Rethink Designer)に対し、調査のための問い(Research Question)を設定。「そもそもサーキュラーエコノミーを実現するためのデザインとはどういう行動を指すのか」等の問いを設け、ヒアリング等を行ってきた。

調査を通して、「廃棄物を資源として捉えなおすこと(Rethink)」と「組織の垣根を超えてライフサイクル全体で資源循環と付加価値の最大化を目指すこと(Design)」を合わせた「Rethink Design」が動静脈連携を推進するうえでのポイントだと、同局は示唆を得たという。調査で得られた示唆の浸透と動静脈連携の実践企業の拡大を目指し、今後も同局はRethink Designプロジェクトを推し進める考え。

本レポートに掲載されているのは「廃プラスチックからアップサイクルされたサステナブルなアイウェア」、「傘シェアリングサービス『チョイカサ』」、「Osaka Metroクリエイト廃車再生プロジェクト」など。各プロジェクトに関わる企業・団体の動静脈連携を一覧できる。

2024年度、同局は調査で得られた知見をセミナーなどで発信予定。また、取り組みを実践する事業者や自治体などに対し、お互いの学び・出会いを意識した交流会、プロジェクト訪問ツアー、さらなる取り組みに向けたマッチング支援を実施するなど、きめ細やかな支援を実施していく計画だ。

「視点を変えれば、価値がめぐる」をスローガンに、サーキュラーエコノミーの取組に挑戦する事業者などに対し、Rethink Designに基づく思考変容と行動変容を促し、循環性の高いビジネスモデルに資する新たなプロジェクトの創出に取り組んでいくとしている。

【プレスリリース】Rethink Design プロジェクト~視点を変えれば、価値がめぐる~
【参照記事】Rethink Designers Report 2024
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