関西電力株式会社(以下、関西電力)はこのほど、再生可能エネルギー企業の独RWE Renewables(以下、RWE)と日本国内での大規模な浮体式洋上風力発電事業の実現可能性を共同検討する契約を締結した。同契約により両社は、関係強化と2050年までの日本におけるカーボンニュートラル実現への貢献を目指す。
約9GWの発電設備容量を有するRWEは、現在5大陸20カ国以上で再生可能エネルギー拡大を推進しており、洋上風力発電におけるバリューチェーン全体において世界有数の実績を持つと両社は認識している。RWEは、浮体式基礎のさまざまなコンセプトを検証するべく、ノルウェー・スペイン・米国で3つの浮体式実証プロジェクトを進行中だ。日本でも秋田県や新潟県などで着床式洋上風力発電の実現性を検討している。RWEは、2040年までのカーボンニュートラル実現を目標としている。
関西電力は、事業における2050年カーボンニュートラル実現を目標に掲げ、再生可能エネルギーを主力電源にするべく検討を進めている。2030年代に国内外で再生可能エネルギー電源の設備容量の目標を600万kWに設定し、200万kW以上の新規開発に取り組んでいる。国内では、秋田県・山形県・長崎県で洋上風力開発を推進し、欧州ではRWEとの共同事業を含む2件の洋上風力発電事業に参画している。
両社は同提携を通じて、将来的に日本国外を含めたより広範な連携も期待している。
経済産業省・資源エネルギー庁によると、欧州の2017年の洋上風力発電の累計導入量は15,780MWで、2012年の3倍以上となった。一方、日本の洋上風力発電の導入量は2018年時点で約20MWで、すべて国による実証事業であった。その背景は、台風や地震など自然環境の厳しさにあると同庁はみており、環境への適応やコスト削減に向けた実証事業が実施されてきたとしている。2018年時点では、洋上風力発電の設置がもたらす影響を調べる「環境アセスメント」手続き中のプロジェクトが約5,400MWに達し、企業が積極的に事業参入する段階になったと発表している。今回の関西電力とRWE Renewablesの提携が、日本の洋上風力発電にもたらす効果が注目される。
【プレスリリース】日本の浮体式洋上風力発電事業における提携について
【参照サイト】日本でも、海の上の風力発電を拡大するために
*冒頭の画像は、RWE Renewables Japan 合同会社 日本代表兼社長の加藤伸一氏(左)と、関西電力株式会社 取締役 代表執行役副社長の森望氏(右)。(出典:関西電力株式会社、RWE Renewables)