株式会社ビューティフルスマイルが運営する食品ロス削減ベンチャーのロスゼロは、未利用のまま廃棄される製菓材料を用いたチョコレート「Re:You(りゆう)」を開発し、1月27日より公式オンラインショップにて販売を開始した。売上の一部を包括連携協定先の自治体を通じて子ども食堂などに寄付し、消費者はチョコレートを食べることで社会貢献に参加できるとしている。

日本の食品ロスは年間約612万トン(※1)で、年間5,500億円規模のチョコレート市場(※2)においては、原材料の食品ロスも大量に存在する。チョコレートの原材料は、パティシエやメーカーの需要に合わせて日本に輸入されるが、そのなかには賞味期限を残したまま利用されないものもある。そこで、同社は世界のカカオ産地などから日本に輸入された後に着目した。未利用原材料を独自に製品化して、DtoCで消費者に直接届けるのは国内初の取り組みであり、これにより今までにない商流を顕在化させ、新しい商流を創り出すとしている。

未利用原材料の採用から製品売上後までの流れ(出典:株式会社ビューティフルスマイル)

食品ロスを減らすアプローチには、「発生しないよう防ぐ」と「出たものを有効活用する」の2種類がある。同社はこれまで、後者のアプローチに着目し、製造・流通で発生した食品ロスのシェアリングサービスを提供してきた。今回、前者のアプローチに着目したことで、「発生を未然に防ぎ、発生すればシェアリングする」という両輪からのアプローチが可能となる。

食品ロス削減への2種類のアプローチ(出典:株式会社ビューティフルスマイル)

ブランド名のRe:Youには、「食べる理由があるチョコレートをあなたに」という意味が込められている。パッケージは、ピンクにカカオの実をあしらって美しさを重視し、食品ロスや環境問題を消費者に押し付けることなく「かわいい、美味しそう」という明るい気持ちで選んでもらうことを意識している。箱を開くと、Re:Youの仕組みが記載されており、さりげなく消費者にコンセプトを理解してもらえるよう促す。環境に配慮したごみが出にくい素朴なパッケージを採用し、コストを削減した。

Re:Youのパッケージ(出典:株式会社ビューティフルスマイル)

また、スイスに本拠を置くバリー・カレボー社の最高級の原料にこだわったチョコレートを使用しており、現在「具材あり」と「板チョコ」を販売している。ルビーとダークの2種類があるが、材料を余すことなく使い切るため2種類とも同じ具材を採用した。ロスゼロは在庫余剰になったものを優先的に使用するため、チョコレートも具材も変化する。この変化を消費者にも楽しんでほしいと同社は考えており、今後、Re:Youを百貨店などで展開する予定だ。今回の取り組みがチョコレート業界のみならず、食品業界全体にどう貢献していくのか注目したい。

ロスゼロについて

2018年4月より、「もったいない、を次の笑顔へ」を使命として、未利用原料や未利用食品を消費者につなぐことで食品ロスを削減するフードシェアリングサービスを提供している。規格外食材を積極的に使った食堂イベント「ロスゼロ食堂」を不定期開催するほか、食品ロスや環境に関する情報を高校・大学生と共同でまとめるなど、人材育成にも注力している。2020年10月、「ブランド食品を定価で販売する」百貨店とともに、食品ロス削減を目的としたSDGsイベントを開催し、大手百貨店と食品ロス削減ベンチャーの画期的な協働として注目を集めた。2021年1月には東大阪市と包括連携協定を締結し、市の窓口を通じて子ども食堂や福祉施設を支援することを発表した。これまでの主な受賞および認定は、以下のとおり。

  • 2020年「食品産業もったいない大賞」審査委員長賞受賞
  • 大阪府「おおさか食品ロス削減推進パートナー」認定企業

※1:農林水産省 食品ロス量(平成29年度推計値)の公表についてより
※2:全日本菓子協会 令和元年菓子統計より

【プレスリリース】日本初!余った原材料と具材で作る、サステナブルなチョコレート(りゆう)を食品ロス削減ベンチャー「ロスゼロ」がオリジナル開発。DtoCで新たな商流を創り出す。
【参照サイト】ロスゼロ 公式オンラインショップ
【参照サイト】東大阪市と株式会社ビューティフルスマイルとの包括連携協定について

※冒頭の画像の出典は、株式会社ビューティフルスマイル