三井化学株式会社(以下、三井化学)・日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)・株式会社野村総合研究所(以下、NRI)はこのほど、資源循環型社会の実現を目指しコンソーシアムを設立することに合意した。
同コンソーシアムは、資源循環プラットフォームを利用した実証実験への支援活動・複数企業による研究会開催・コンソーシアムで得た知見などの情報共有・コンソーシアム内外への提言などの計画を実施し、他団体との関係構築を通じて循環型社会の実現を目指す。
2021年4月、三井化学と日本IBMは「素材のトレーサビリティ」を担保するべく、ブロックチェーン技術を活用した資源循環プラットフォーム構築に向けて協働を開始した。今回、この取り組みを加速・拡大させるため、NRIを交えた3社によるコンソーシアム設立合意に至った。コンソーシアムの目的および役割について、3社は以下のように発表した。
目的
- トレーサビリティを基盤とした、プラスチックリサイクル材の利用促進
- 資源循環に関するステークホルダー間の連携支援
- 資源循環に貢献した人や企業へのインセンティブ制度構築
役割
3社は共同でコンソーシアムを運営し、各社の強みを活かした活動を想定している。
- 三井化学:モノマー・ポリマーなどに関する知見や能力、およびリサイクルを含む環境対応技術を提供する
- 日本IBM:ブロックチェーンを基盤としたトレーサビリティプラットフォームの利用を支援する。具体的には、製品がリサイクルされ新たな製品となるモノの工程や複数のサプライチェーン企業間との連携業務工程のデジタル化・透明化を支援する
- NRI:ビジネスモデル変革およびデジタル化への知見・経験、業界団体や官公庁への提言の経験を活かし、企業・社会の変革を推進する
コンソーシアム設立後、3社は趣旨に賛同する企業の参加を受け付け、プラスチックを中心とした素材の資源循環型社会の創造を共同で推進していく意向だ。3社は想定される賛同企業として、自社製品のリサイクル・リサイクル材を活用した製品づくりの推進を目指す製造業者、回収・解体する製品の素材情報の把握やリサイクル材の付加価値創造を目指すリソーシング産業、物流に新たなソリューション創出を目指す物流業者、ESG投資を検討している金融機関などを挙げている。
(参考)IT技術を活用した資源循環構築におけるIBMの取り組み例
- 2020年12月、Alliance to End Plastic Waste(廃棄プラスチックを無くす国際アライアンス)に支援企業として参加することを発表した。IBMはプラスチック廃棄物と回収を世界的に追跡することを目指し、IBM Cloudにおいて新しいデータプラットフォームを設計・構築する
- 2021年5月、旭化成株式会社は日本アイ・ビー・エム株式会社とプラスチック資源循環プロジェクトを開始すると発表した。同プロジェクトではIBM Cloud上で稼働するブロックチェーン技術を活用して、日本IBMがデジタルプラットフォームを開発する
- 2021年8月、英国のファッションおよびテキスタイル企業のネットワークであるUK Fashion&Textile Associationは、サプライチェーン最適化プロジェクトを支援すると発表した。IBMは同プロジェクトに参加している
【プレスリリース】三井化学と日本IBMおよび野村総合研究所、資源循環型社会の実現に向けコンソーシアムの設立を合意
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