株式会社野村総合研究所(NRI)は10月16日、欧州自動車業界における脱炭素および循環型経済の実現を支えるデータスペース「Catena-X(カテナエックス)」の認定を、9月20日、日本で初めて取得したと発表した。NRIが開発したEDCコネクタ(データスペースに接続しデータ交換を行うソフトウェア)が、Catena-X参加組織間でのデータ連携を実現するソフトウェアとして、仕様に沿って実装されていることが評価されたという。

欧州のデータスペースの多くは、データ所有者が自身のデータを制御・管理する権利を持つ、「データ主権」の考え方に基づいて設計されている。データの提供者がデータの取り扱いに関する要求事項を示し、データの利用者が遵守することを条件にデータの送信が行われる仕組みだ。

同社のEDCコネクタには、データ制御管理を行うデータ利用制限(Usage Control)機能が搭載されており、欧州のデータ主権の設計思想を実装していると評価されたという。

Catena-Xは、欧州の自動車産業に関する法規制に対応し、特に電気自動車(EV)のバッテリーのライフサイクルを管理するための枠組みを提供する。この枠組みでは、バッテリーパスポートの発行が求められ、原材料の調達から配合比率、製造工程で排出されたCO2の情報などの情報が管理される。

原材料の組成に関わる情報は事業者にとって機密情報であり、他社に開示をしたくないものである一方で、リサイクル事業者にとっては必要な情報だ。そのため、データ主権の思想を実装したデータ連携の仕組みを通して、製造事業者とリサイクル事業者の情報の取り扱いを支援する。

NRIは、脱炭素化や循環型経済を推進し、社会システムのライフサイクルマネジメントを高度化することを目指している。同社のCatena-X認定は、今後の欧州電池規則への対応や顧客支援に貢献し、日本におけるデータ連携の仕組みづくりにも寄与するだろう。

【プレスリリース】野村総合研究所、欧州の自動車分野におけるデータ連携基盤Catena-Xの認定を日本で初めて取得
【関連記事】NTTデータ、業界横断プラットフォームの提供開始。ウラノス・エコシステムのファーストユースケースとして企業間で連携
【関連記事】EUが推進するサーキュラー自動車パスポート、課題と今後の方向性
【関連記事】ジャパンイノベーションパーク、NTTなど4機関が実施するデータ流通共同実証実験を支援。製造プロセス全体におけるCO2排出量の可視化が目的