広島県はこのほど、脱炭素社会の実現に資する有望な技術「カーボンリサイクル(※1)」の推進に取り組むため、協議会を設立することを発表した。

2020年10月に日本政府は「2050年温室効果ガス実質排出ゼロ達成」を宣言し、カーボンリサイクルなどの革新的イノベーションが達成への重要な要素であることを示した。これを受け、経団連は2020年11月に新たな成長戦略である「。新成長戦略」を発表し、CCUS(CO2の回収・有効利用・貯留)などのイノベーションを国家プロジェクトとして官民連携で強力に推進することを表明している。カーボンリサイクルは、気候変動問題解決への貢献・新たな資源の安定的確保という2つの課題解決を両立させるイノベーションとして期待されていると同県も認識しており、大崎上島町を中心に実証実験などが進められている。

国内外の産学官で構成される同協議会は、同県をCO2削減とカーボンリサイクルの先駆的な研究開発拠点とし、これらの技術の社会実装への取り組みを推進して、地域振興およびカーボン・サーキュラー・エコノミー(※2)を実現することを目的とする。5月20日、同県は「広島県カーボン・サーキュラー・エコノミー推進協議会設立総会」をオンライン開催した。

同協議会は、以下のメンバーで構成される。

  • 産業界:岩谷産業株式会社、住友商事株式会社、株式会社ダイセル、中国電力株式会社、電源開発株式会社、戸田工業株式会社、広島ガス株式会社、マツダ株式会社、三菱ケミカル株式会社、三菱パワー株式会社、株式会社ユーグレナ、ランデス株式会社
  • 学術機関:広島大学 市川貴之教授、県立広島大学 小林謙介准教授、国立研究開発法人産業技術総合研究所
  • 官庁:中国経済産業局、広島県
  • オブザーバー:株式会社広島銀行、株式会社もみじ銀行、一般社団法人 中国経済連合会、呉市、竹原市、東広島市、大崎上島町

今後同協議会は、数年後を見据えたビジョンを描いた推進構想を作成し、県全体が共通認識できるようフォーラムなどの情報発信を通じて普及啓発などを実施していく構えだ。

※1 カーボンリサイクル:CO2を資源として捉えて分離・回収し、鉱物化や人工光合成、メタネーションによる素材や燃料への再利用などとともに、大気中へのCO2排出を抑制していくこと
※2 カーボン・サーキュラー・エコノミー:炭素がさまざまな形で存在し、自然界や産業活動の中で炭素が循環し、持続的に共生できる社会経済を指す造語

【プレスリリース】「広島県カーボン・サーキュラー・エコノミー推進協議会」を設立します
【参照サイト】第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説
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