株式会社リファインバースグループは10月23日、東京海上日動火災保険株式会社と株式会社ABTと共同で、使用済み自動車(ELV)のエアバッグリサイクル実証を開始すると発表した。

自動車保険のネットワークを活用してELVから展開済みエアバッグを回収し、リサイクルナイロン樹脂として再利用する試みは、国内初となる(リファインバースグループ調べ)。

リファインバースグループは、エアバッグを高純度なナイロン樹脂としてリサイクルする技術を独自開発し、リサイクルナイロン樹脂「REAMIDE」事業を展開している。REAMIDEの原材料は、エアバッグのほか廃棄漁網や船舶係留用ロープなどだ。REAMIDEは、ライフサイクル全体でバージンナイロンと比較してCO2排出量を約80%削減できるとしている。東京海上日動は自動車保険業運営のなかで、自動車事故などによる保険金の支払いに伴い、多数のELVを取得している。ABTは東京海上日動から委託を受け、全国各地の解体業者と共にELVのリユース・リサイクルなどの適正処理を実施している。

3社は、リファインバースグループのナイロンリサイクル技術と、ABTおよび東京海上日動が有するELV処理のネットワークを組み合わせ、ELVから展開済みエアバッグを回収し高品質なナイロン樹脂として再生するスキームの構築を目指す。

まず、2023年11月に東海地区で毎月約2500台のELVから展開済みエアバッグを回収する実証を開始する。実証を踏まえて運用・素材の品質・コストなどを検証し、2024年度に全国ネットワークで取り組みを拡大する計画だ。

2023年7月、欧州委員会は自動車産業の循環性向上に向けた規則案を公表。同案に「新車製造においてリサイクルプラスチックを25%使用すること。そのうち25%はELVからリサイクルすること」が盛り込まれた。そのため、自動車用途でのELV由来再生プラスチックの需要は今後飛躍的に高まるとリファインバースグループは予測している。同社は、ELVからのナイロン樹脂回収スキームをさまざまなパートナーと共同構築して供給量を増大し、自動車の循環移行に貢献していきたい考えだ。

なお、東京海上日動とABTは三菱ケミカルグループ株式会社と共同で、アクリル樹脂ケミカルリサイクルの事業化を目指し、ELVからテールランプなどのアクリル樹脂を回収するスキームの実証を2023年3月に開始。関東地区において、約1000台のELVからアクリル樹脂を回収している。エアバッグリサイクルの取り組みと同様に、実証を踏まえて運用・素材の品質・コストなどを検証し、2024年度に全国ネットワークでアクリル樹脂回収スキームを拡大することを目指している。

【プレスリリース】東京海上日動火災保険およびABTとの 自動車保険の仕組みを活用した使用済自動車からの エアバッグリサイクルの取り組み開始のお知らせ
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