三井住友信託銀行株式会社はこのほど、株式会社エンビプロ・ホールディングス(以下、エンビプロHD)と、サーキュラーエコノミー移行を目的とした連携協定を締結した。

エンビプロHDは、廃棄物や資源のリユース・リサイクル・再製造、および資源の有効活用と廃棄物削減に取り組むとともに、廃棄物から再生原材料を製造している。三井住友信託銀行が今回発表した内容は、以下のとおり。

同協定の目的は、エンビプロHDが有するサーキュラーエコノミー構築の実績・知見・技術、および三井住友信託銀行が有する顧客基盤など、両社の強みを活かして地域と顧客のサーキュラーエコノミー構築を支援することだ。三井住友信託銀行は、廃棄物回収から再資源化までの工程に課題を抱える自治体と、製造から再資源化・再利用に課題意識を抱く製品メーカー企業およびエンビプロHDをつなげることを目指す。

協定締結にいたった背景として、世界の潮流となっているサーキュラーエコノミー移行を挙げた。現在、拡大生産者責任制度の導入が進み、サーキュラーエコノミー移行に向けた社会的要請も強まっている。加えて、企業と地方自治体は2022年に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」への対応も求められている。対応にあたり、メーカー・小売・回収企業・リサイクル企業など幅広い業種の連携、および製品回収・リサイクルにおける消費者の協力も必要だ。今回の連携は、企業・地方自治体・消費者を巻き込んだ持続的な社会システムへの転換に向け、両社が共同で貢献することを目的としている。

2021年11月、三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社と三井住友信託銀行傘下の日本機械リース販売株式会社は、エンビプロHDおよび株式会社エコネコルと「資産評価を伴う解体・設備処分のワンストップサービス」に関して連携協定を締結した。今後、今回の協定における取り組みにおいて、日本機械リース販売とエコネコルが締結した連携協定も活用しつつ、持続可能な社会構築に取り組んでいく考えだ。

サーキュラーエコノミーは国家に経済成長をもたらし、課題や状況変化への対応能力を向上させる可能性があると金融界はみていると同時に、サーキュラーエコノミー移行における金融界の役割は大きい。三井住友信託銀行は、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)の提唱で発効した「責任銀行原則(PRB)」の発足署名機関として世界の銀行100行以上と連携し、SDGsやパリ協定に沿って戦略的に事業展開することを表明している。三井住友信託銀行とエンビプロHDが今回締結した協定のように、行政・循環型事業を展開する企業・金融機関・消費者が協働することで、サーキュラーエコノミー移行が加速していくことが期待される。

【プレスリリース】株式会社エンビプロ・ホールディングスとの連携協定の締結について
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