YKK株式会社(以下、YKK)は4月21日、エレン・マッカーサー財団ネットワークに加盟したと発表した。
これまで、YKKは同ネットワークに加盟する多くのファッションブランドと連携し、環境配慮型商品の開発などを通じてファッション産業におけるサーキュラーエコノミー移行に向けた取り組みを進めてきた。今回の加盟を通じて、これまでの取り組みを加速させ、2050年までに気候中立を達成するための持続可能性目標「YKKサステナビリティビジョン2050」の実現を目指す。
同財団が掲げるサーキュラーエコノミーの3原則は、「廃棄物・汚染をなくす」「製品と資源を循環させる」「自然を再生する」である。YKKは同3原則について、以下のように取り組んでいる。
廃棄や汚染をなくす:環境に配慮した商品・技術を開発
- 1994年に再生PETを使用したリサイクルファスナーを開発。その後も、植物由来のポリエステルを使ったファスナー、海洋プラスチックごみを使用したファスナーなどを開発した
- 従来のめっき薬品を一切使用せず、シアン・クロム・セレンなどの有害物質を100%除去し環境負荷を大幅削減しためっき技術を開発した
商品と材料を循環させる:ファッション産業の循環型事業の推進
- YKK台湾社は、NFCチップ内蔵ファスナーを開発した。ファスナーの引手にスマートフォンを近づけると登録情報を読み取り、ウェブサイトやアプリケーションなどと連動できる。登録情報は、アパレル製品のタグ・ラベルなどに従来記載されているケア情報・トレーサビリティ・リサイクル情報などである。同ファスナーを衣服などに活用することで、ファッション産業の循環型事業の推進に貢献する
自然を再生する:持続可能性目標などの制定
- 1994年、「環境との調和」を事業活動の最優先課題に掲げる「YKKグループ環境宣言」を制定した
- 2020年3月、「ファッション業界気候行動憲章」に署名
- 2020年10月、「YKKサステナビリティビジョン2050」を策定。気候・資源・水・化学物質・人権の5つのテーマと、関連10項目のSDGs達成に向けて取り組んでいる
- 2021年3月、SBT認定を取得した(YKKの2030年度に向けた温室効果ガスの削減目標が、SBTにより1.5℃目標であると認められた)。
現在、同ネットワークには世界の企業300社以上が参画している。YKKが同ネットワークにおいて国内外の加盟企業と関係を強化し、サーキュラーエコノミー移行に貢献していくことが期待される。
【プレスリリース】2022年4月21日 YKKが「エレン・マッカーサー財団ネットワーク」に加盟~「YKKサステナビリティビジョン2050」の目標達成に向けた取組みを加速~
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Circular Economy Hub Editorial Team
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