本記事では、オランダにて開催されたウェブフォーラム「WCEF+Climate(World Circular Economy Forum + Climate)」(世界循環経済フォーラムと気候変動に関するハイレベル会合)のプログラムの一つ「Circular Economy: Crucial in Achieving the SDGs?(サーキュラーエコノミー:SDGs達成に必要不可欠か?)」の様子をお届けする。
国連持続可能な開発計画(SDGs)の目標年まであと10年を切った。このセッションでは、なぜサーキュラーエコノミーがSDGsの達成に向けて不可欠なのかについて、政府・国際機関・企業からのスピーカーが議論する。政策面のみならず、アフリカでの具体的なサーキュラーエコノミービジネスの事例も紹介。これらの事例は、2030年までのSDGs達成だけではなく、ビジネス機会の創出という点からも興味深い。
スピーカー:敬称略
- スティンチェ・ファン フェルトホーフェン(オランダ環境大臣)
- アミーナ・J・モハメッド(国連副事務総長)
- アルマンド・ランぺ(オランダ自治領 アルバ 教育・科学・持続発展相)
- ノーベルト・クリラ(サーキュラースロバキア共同代表)
- リー・ヤング(国連工業開発機関(UNIDO)事務局長)
- マレック・スカー(アヴェルナCEO)
- ヒムカー・シン(コンポストキッチンCEO)
- ケーラン・スミス(ミスターグリーンアフリカ共同創業者CEO)
モデレーター:敬称略
- イケーナ・アズイケ
サーキュラーエコノミーの推進は、気候変動対策を進展させ、SDGsの達成につながる
はじめに、国連でSDGsを主導するモハメッド副事務総長よりメッセージがあった。
「現在の生産と消費のあり方は持続可能ではない。毎年4億トンもの重金属や汚泥が水中に流れ出ており、世界の貧しく脆弱な地域に打撃を与えている。世界の食品ロスを金額換算にすると9000億ドル相当にのぼる一方で、飢餓の問題は解決されていない。海洋プラスチックごみをはじめ、ごみの排出量は増え続けるばかりだ。私たちはサーキュラーエコノミ―によって2030年にSDGsを達成し、その先の2050年の脱炭素を実現しなければならない」
「そのためには3つのアプローチを取るべきだ。最初のアプローチは、各国の法制度にサーキュラーエコノミー戦略を取り入れること。次のアプローチは、リニア型経済で広がった社会格差を是正し、仕事のオートメーション化と生態系保護を進めること。最後のアプローチは、特に資源依存度の高いプラスチックや食料、ファッション、運輸といったビジネスでサーキュラーデザインを取り入れたビジネスモデルの構築を急ぐことだ。政府も企業も市民を、これらを重荷と捉えるのではなくチャンスと捉えなければならない。サーキュラーエコノミーの推進は、気候変動対策を進展させ、SDGsの達成につながる」
モハメッド副事務総長は、コロナ禍でワクチンの確保や雇用の維持が注目されるタイミングでなぜサーキュラーエコノミーの推進が必要なのかという質問に対して、このように答えた。
この記事は、Circular Economy Hub 会員専用記事となります。