株式会社ブリヂストンは、空気充填が要らない次世代タイヤ「エアフリー」の開発を進めている。「Bridgestone Innovation Park」がある東京都小平市近郊の公道で、実用化に向けた実証実験を3月に開始。エアフリーを実験車両に装着し、実際の使用環境により近い公道の様々な環境で特性や機能を検証し、今後の社会実装に向けた準備を進めていく。

通常のタイヤには高圧の空気が充填されており、車の重さを支える、路面の衝撃を吸収するといったバネのような役割を果たしている。しかしそのため、タイヤの空気圧が適切でなければパンクしてしまい、走行に支障をきたす場合もある。

同社による空気充填の要らないタイヤの開発は、2008年の「エアフリーコンセプト®」に始まる。タイヤ側面に特殊形状の樹脂スポークを張り巡らせ、スポークが変形することで、車の重量を支えたり、衝撃を吸収したりできるという技術だ。タイヤの空気圧管理が不要になり、パンクの心配もなくなるという。

空気の充填が不要というコンセプトを、「リサイクル可能な強くてしなやかな素材の開発」と「強くてしなやかな素材の特性を最大限に活かす設計」の両面から進化させるのが、次世代タイヤであるエアフリーだ。タイヤ側面の特殊形状スポークで荷重を支える点は共通だが、今回採用された「青色スポーク」により、日中から夕暮れ時まであらゆる明るさにおける視認性と、安全性の向上が期待される。

さらに、路面に接してすり減ってしまったゴムの部分を貼り替えられる(リトレッド)だけでなく、独自開発した再生可能なスポーク部分の樹脂をリサイクルすることで、資源の効率的な活用とサーキュラーエコノミーの実現を志向している。

今回の実証実験を、新たな社会価値・顧客価値の提供に向けた「新たな種まき」と同社は位置付ける。エアフリーの社会実装を通じ、サステナビリティビジネスモデルに基づくバリューチェーン全体でタイヤを「より長く安心・安全に使う」という価値の創出に取り組んでいく。

将来的には、様々なパートナーとの共創で価値を広げ、高齢化・地方の過疎化・労働不足による移動の制限といった社会課題の解決を目指す。

【プレスリリース】次世代タイヤ「エアフリー」の公道実証実験を開始
【参照記事】空気を不要にするブリヂストンのタイヤ技術エアフリーコンセプト®
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(※画像の出典:株式会社ブリヂストン)