株式会社ブリヂストン(以下、ブリヂストン)と仏ミシュランは11月22日と23日、オランダ・アムステルダムで開催されたSmithers Recovered Carbon Black Conference(スミサーズ・リカヴァード・カーボンブラック・カンファレンス)にて、再生カーボンブラック(※)利用拡大についての公開討論に参加した。

現在、世界では使用済みタイヤの原材料の再利用や再生技術の研究が進められている。一方、よりサステナブルなエコシステムを構築し、タイヤ・ゴム業界全体におけるマテリアル・サーキュラリティを実現するにはさまざまな障壁があるとブリヂストンは認識している。

今回の公開討論で両社は、カーボンブラックの再生技術の確立と新品タイヤ生産への利用拡大の展望について話した。加えて、その実現に向けてタイヤメーカー各社・カーボンブラックサプライヤー・再生資源への還元技術を持つスタートアップ企業など、タイヤ・ゴム業界のすべてのステークホルダーとの連携の必要性を訴えた。再生カーボンブラックについて、ブリヂストンは以下の見識を発表した。

  • タイヤの重要な原材料であるカーボンブラックに占める再生カーボンブラックの割合は、再生から使用までの循環が未確立であるため、世界全体で1%未満に留まっている
  • 再生カーボンブラックの利用が拡大されると、タイヤ・ゴム業界ではタイヤの性能を維持したまま石油由来の原材料の使用量を抑制でき、新品のカーボンブラックを使用した場合と比べて製造時のCO2排出量を最大85%削減できる

今後、両社は共同イニシアチブの一環としてサーキュラーエコノミーへの移行に向けたタイヤ・ゴム業界としての取り組み方針を検討していくとともに、2022年には再生カーボンブラックの利用拡大に向けた技術要件や課題と対策について報告する考えだ。

持続可能な開発のための世界経済人会議(WBSCD)は、タイヤ業界全体のデータとして「回収された使用済みタイヤの用途」を次のとおり発表している。マテリアルリサイクル47%、熱回収20%、土木目的での利用・埋め戻し2%、その他(埋立など)31%である。約7割の使用済みタイヤがリサイクルされているが、最も理想的なのはタイヤからタイヤへの水平リサイクルだ。タイヤの重量の3割を占めるカーボンブラックの再生技術がLCA(ライフサイクルアセスメント)も考慮して確立され利用が拡大されれば、タイヤ・ゴム業界のマテリアル・サーキュラリティ実現に大きく貢献することとなるだろう。

※ カーボンブラック:タイヤに使用されるゴムに含まれる黒い炭素の粒で、ゴムの強度を高め紫外線劣化防止効果も持つ

【プレスリリース】ブリヂストンとミシュラン 再生カーボンブラックの利用拡大を通じ、タイヤ・ゴム業界におけるサステナビリティの進化へむけて連携
【参照サイト】タイヤのキホン
【参照サイト】タイヤのリサイクル・再利用
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*冒頭の画像の出典:株式会社ブリヂストン