国土交通省は2024年8月、「循環経済拠点港湾(サーキュラーエコノミーポート)」として日本国内の特定港湾を選定する取り組みを開始した。世界的な資源枯渇と廃棄物問題に対応し循環経済を推進するため、循環資源に対応した港湾を核とする広域的な物流システムの構築を図る。
広域的な資源循環ネットワークの形成が求められる背景として、リサイクル資材の需要増加や廃棄物処理技術の高度化といった点が挙げられる。脱炭素化や資源循環に寄与する電炉鋼材の需要が増加し鉄スクラップの海上輸送が行われるようになったほか、地域の処理業者では対応が難しい場合に高度な廃棄物処理技術を有する業者への海上輸送が開始された。非鉄金属のリサイクルのため、国内外から廃プリント基板等の輸送を受け入れる必要も出てきた。
選定された港湾は、物流ネットワークの拠点となる物流機能や、高度なリサイクル処理施設の集積が求められる。また、港湾を核とした物流ネットワーク形成には、資源循環を促進するためのガイドライン作成や、港湾における循環資源の取り扱い可否の可視化や機能の強化などを、今後進めていく必要がある。
令和7年度港湾局関係予算概算要求の中で、この「サーキュラーエコノミーへの移行に向けた港湾を核とする物流システムに関する検討」に対しては、2,000万円の予算が要求されている。
港湾を中心とした資源循環の物流ネットワークが構築されることで、サプライチェーン全体の資源循環性の向上と環境負荷の低減が期待される。
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【参照記事】令和7年度 港湾局関係 予算概算要求概要
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