環境省はこのほど、使用済み紙おむつの再生利用などの促進プロジェクト検討結果を発表した。

高齢化に伴い、紙おむつの使用量は年々増加しており、廃棄物処理において大きな負担となっている。一方、紙おむつは上質パルプ・フィルム・吸水性樹脂などから構成されているため、再生利用が可能で、紙おむつの再生利用は焼却処理量削減および資源循環促進などに貢献することが期待されている。

上記を背景として、環境省は「使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン」を令和2年3月に策定。市区町村をはじめとする主体を対象に、使用済み紙おむつ再生利用などの検討の流れ・取り組み事例・関連技術・関連規制などを整理した。ガイドライン策定以降、使用済み紙おむつの再生利用などに関心を持つ自治体や事業者は増えているが、実施する自治体はわずかであるとしている。

そこで、取り組みを促進するべく、現状を整理し今後の方針について検討した。検討結果の概要は、以下のとおり。

現在、使用済み紙おむつの再生利用などを実施している自治体は約1~2%と低い。再資源化など事業者・有識者・自治体・子供の保護者・紙おむつを取り扱う関係者は、使用済み紙おむつの再生利用に向けた課題として、コスト・リサイクル技術・流通・情報の拡充・分別および回収方法などを挙げた。

使用済み紙おむつの再生利用などの取り組みは、廃棄物処理の合理化に加え、地域の資源循環促進、子育て世帯などの紙おむつ利用者・関係者の負担軽減など、地域課題の解決に貢献しうる重要な取り組みだ。

2030年度までに、100の自治体が取り組みを実施または検討することを目標に掲げ、環境省は次のような施策を展開する。

  • 情報提供:自治体での検討着手に必要な情報を国が調査・整理し、情報提供する
  • 自治体支援:自治体の取り組みの各段階(現状調査、回収・再生利用などの方式検討、設備導入、住民への普及啓発など)に必要な支援を実施する
  • 事業者支援:技術開発・設備導入、自治体や事業者間のマッチングにおいて支援する

環境省の支援のもと、自治体・事業者・ユーザー・関係者が協力して使用済み紙おむつの再生利用に向けて取り組みを進め、知見などを広く共有することで、資源循環をはじめとする地域課題の解決に貢献していくことが期待される。

【プレスリリース】使用済紙おむつの再生利用等の促進に関するプロジェクトの検討結果取りまとめについて
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