炭素排出削減対策の一環を担う輸送手段の電化によって現在世界的なEVの急増が見込まれているが、それに伴い、将来的に使用済みリチウムイオン電池の大幅な増加が予測されている。資源循環と環境負荷削減の観点から、廃電池のリサイクルは必須課題である。
欧州をはじめ、世界各国で今後上昇するリチウムイオン電池リサイクルの重要性とその能力拡大が議論される中、多くの自動車メーカーや電池メーカーの多くは再生材を使用することを躊躇する。再生材は、品質においてバージン材より劣るという考えがあるからだ。だが、技術の進歩により、その考えも変わる時が来たようだ。
米研究所Worcester Polytechnic Instituteの機械工学士Yan Wang教授が、US Advanced Battery Consortium※のチームと合同で行なった研究によると、再生材から製造された正極材の品質はバージン材を使用した製品を同等か上回ると結論づけている。同研究結果は、科学誌Jouleで発表された。
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藤原 ゆかり
欧州在住フリーライター/リサーチャー。EUの政策・規制、経済、産業、政治、環境リサイクル分野での執筆活動および調査に携わっている。専門分野:EU環境政策・規制。イギリスの大学院で戦争学、国際関係学を学ぶ。趣味は旅行と油絵。