横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市)は4日、日本環境設計株式会社(本社:東京都千代田区)へ出資し、資源循環の加速に向けた業務提携契約を締結したと発表した。日本環境設計の情報技術を活用した既存工場のスマート化を進めるにあたり、同社の最新の計測・制御・情報技術と製品を導入し、生産体制の拡充と循環化を進めるとしている。

横河電機は、2050年に向けた長期サステナビリティ目標「Three goals」を掲げ、「気候変動への対応(Net-zero Emissions)」(環境)「すべての人の豊かな生活(Well-being)」(社会)とともに、「資源循環と効率化(Circular Economy)」(経済)をサステナビリティの一環として取り組んでいる。重点領域は、水環境改善・高度ソリューション・生産性向上コンサルティング・プラント長期安定稼働だ。2030年度に資源効率改善額1兆円達成をKPIとして設定し、顧客のサーキュラーエコノミーの移行支援に取り組んでいる。

日本環境設計は、ポリエステル樹脂をケミカルリサイクルし、石油由来の樹脂と同品質のポリエステル樹脂を製造する独自技術を保有。この国内外から注目が集まる「BRING Technology™」と呼ばれるケミカルリサイクル技術は、一般的なリサイクルでは困難な不純物の除去を可能にさせ、高い品質のまま再生ができる。同技術を用いた商業用と同規模のパイロットプラントにおける実証実験を成功させており、今後の生産供給体制を構築するとしている。最近では、「10万着で飛ばそう! JALバイオジェット燃料フライト」プロジェクトにおいて古着からバイオジェット燃料を製造したり、アパレルブランド「BRING(ブリング)」での「サーキュラーエコノミーD2C」を開始したりと、同社の取り組みは業界内外で話題を呼ぶ。

横河電機執行役員日本・韓国代表兼横河ソリューションサービス株式会社社長の村井哲也氏は今回の提携について、次のように声明を発表。「YOKOGAWAは、コーポレート・ブランド・スローガンとしてCo-innovating tomorrow™を掲げ、お客様とともに新しい価値を創造しています。今回の協業はCircular Economy分野における重要なco-innovationです。これからもデジタルトランスフォーメーション(DX)により、お客様のビジネス機会の創出と価値創造のためのさまざまなソリューションを提案することで、持続可能な社会の実現に貢献していきます」

日本環境設計代表取締役社長の髙尾正樹氏は次のように述べる。「当社は、服に含まれるポリエステルのリサイクルを進めるパイロットプラントのほか、グループ会社ではペットボトルのリサイクルを行う商用プラントを保有しています。今回の提携により、両工場での生産体制強化はもとより、当社の事業機会が大きく広がることを確信しており、『あらゆるものを循環させる』というビジョンの実現に向けた歩みがより着実なものになると考えています。また、異なる分野で培ってきた互いのノウハウを存分に生かしながら、両者が目指すサーキュラーエコノミーの実現にスピード感を持って臨む所存です」

両社はこれまで、サーキュラーエコノミーを事業の中核として位置づけてきた。今回の出資・業務提携による技術の組み合わせは、サーキュラーエコノミーの加速につながるものとして注目される。

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【参照レポート】YOKOGAWA サステナビリティレポート 2019
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