象印マホービン株式会社(以下、象印)と株式会社ファーメンステーション(以下、ファーメンステーション)はこのほど、炊飯試験時のごはんからつくる発酵アルコール(エタノール)を配合した「試食ごはんの除菌ウエットティッシュ」を商品化することを発表した。ファーメンステーションは、同社のサーキュラーエコノミー実現を目指す「未利用資源再生・循環パートナーシップ」事業の取り組みとして実施する。

象印の主力商品の一つである炊飯ジャーの商品開発では、ごはんのおいしさを追求するために繰り返し炊飯・試食する過程で、どうしても食べきれないごはんが発生するとしている。これまで、こうしたごはんは農産物の肥料としてリサイクルしていたが、さらなる有効活用を目指し、今回象印と独自のエタノール精製技術を有するファーメンステーションの協業が実現した。

同技術を用い、ごはんから高品質のエタノールを精製してアップサイクルすることで、両社はごはんのさらなる価値向上への第一歩として取り組む意向だ。エタノール精製後にできる「発酵粕」は、ファーメンステーションの発酵所がある岩手県で肥育されている牛の飼料として利用し、将来的には同飼料により肥育された牛を活用していくなど、サーキュラーエコノミー実現を目指すとしている。両社は今後、未利用資源を共に再生・循環していくパートナーシップの拡大も検討しており、外部企業との連携も視野に入れて取り組んでいく構えだ。

試食ごはんの除菌ウエットティッシュ

  • 仕様:1袋10枚入(寸法:140×80mm)
  • 価格:希望小売価格187円(税込)
  • 用途:手や指の汚れ落とし、身の回りの物の除菌
  • 成分:99%天然由来原料使用、無香料

※商品内容やデザインは、今後変更になる可能性あり

両社は、象印が運営するごはんレストラン「象印食堂」(大阪・難波)や、弁当専門店「象印銀白弁当」(大阪・新大阪駅構内)で同ウエットティッシュを販売するほか、SDGsへの取り組みを示すノベルティとして活用を希望する企業に販売するとしている。

象印マホービン

1950年代にガラスマホービン製の「保温ジャー」、1970年代以降に「炊飯ジャー」を製造・販売するなど、同社は半世紀以上にわたり「ごはんをおいしく味わってもらう」ことに取り組んできたとしている。近年は、昔ながらのかまどの火力や対流を再現した高級炊飯ジャー「炎舞炊き」を開発・販売している。

ごはんの食文化を盛り上げるべく「ライスマイルプロジェクト」を立ち上げ、農作業体験の場を提供したり、全国各地のごはんのお供などを情報発信したりすることで、炊飯以外の分野にも消費者の関心を促す取り組みを実施している。

ファーメンステーション

未利用資源を活用し、循環型社会の構築を目指すスタートアップ。岩手県奥州市にある研究開発拠点兼自社工場(奥州ラボ)で、独自の発酵・蒸留技術によりエタノールやサステナブルな化粧品原料などを開発・製造している。同社が展開する事業は以下のとおり。

  • 原料事業:サステナブル原料の製造・販売
  • 自社ブランド事業:オーガニック化粧品・ライフスタイル製品の製造・販売
  • ODM/OEM事業:サステナブル・オーガニック化粧品などのODM/OEM
  • 共創事業:企業との「未利用資源再生・循環パートナーシップ」

未利用資源再生・循環パートナーシップでは、アサヒグループとJR東日本グループの製造工程で発生するりんごの搾り残さや、ANAグループの流通過程で生じる規格外バナナなどを活用してきた。これらの未利用資源を発酵・蒸留・精製したエタノールを用いたアロマ製品や除菌ウエットティッシュなどを製造・販売している。

(出典:株式会社ファーメンステーション)

【プレスリリース】ファーメンステーションが象印マホービンと未利用資源再生・循環パートナーシップ:炊飯試験時のごはんから作る発酵アルコールを配合し「試食ごはんの除菌ウエットティッシュ」を商品化(株式会社ファーメンステーション)
【プレスリリース】炊飯試験時のごはんから作る発酵アルコールを配合した「試食ごはんの除菌ウエットティッシュ」商品化(象印マホービン株式会社)
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*冒頭の画像は、試食ごはんの除菌ウエットティッシュ(出典:株式会社ファーメンステーション、象印マホービン株式会社)